労災保険の男女逆差別
さらに、労災保険の「遺族補償年金」にも、男女逆差別が存在する。「遺族補償年金」とは、業務上、または、通勤災害によってサラリーマン・ウーマンが亡くなった場合、一定の要件を満たす遺族が受け取ることができる労災補償制度である。亡くなった人の配偶者も支給対象であるが、「妻」と「夫」では、やはり大きく要件が異なっている。
遺族が妻の場合は年齢等の要件はないが、遺族が夫の場合、55歳以上であること、あるいは一定の障害があること、のいずれかの要件を満たす必要がある。要するに、遺族が夫の場合、55歳未満であれば(一定の障害がない限り)遺族補償年金を一切受給することができないようになっているのだ。
このように、「専業主夫」という選択は、夫婦の有り様としては全く間違ったことではないが、社会保障の仕組みを踏まえると、なかなか選択できない、あるいは、選択するには別途のコスト負担(生命保険等への加入)を覚悟しておかなければならない、というのが現実である。
働き方改革を進めるにあたって、「多様な働き方」、「女性活躍」を標榜している国としては、社会意識を含め、あまりにもお粗末過ぎる状況にあると言えるだろう。世界の中で生きていかざるを得ない我が国としては、早くグローバル・スタンダードに追いつき、すべての人たちに理解のある寛容なユニバーサル社会づくりに勤しむべきである。
株式会社WiseBrainsConsultant&アソシエイツ
社会保険労務士・CFP
大曲 義典
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