SPECIAL INTERVIER HR トップが語る「人材開発のいま」

第1回

将来の姿に向けて 人材開発をリデザインする

全日本空輸株式会社
執行役員 人事部長 兼 ANA人財大学長
國分 裕之 氏

Interviewer/株式会社セルム 代表取締役社長 加島禎二
2013年10月取材 ※所属・肩書・記事内容は取材当時のものです。

創立60周年を機にホールディング化をし、「強く生まれ変わる」ための経営改革を推進するANAグループ。
グループが一丸となって行動するための共通言語として新たな経営理念・ビジョンを策定し、行動指針の浸透も進めている。
その人事・人財開発の取り組みについて、ANAグループの戦略実現に向けてグローバル人財の育成を担う全日本空輸株式会社 執行役員 人事部長 兼 ANA人財大学長 國分裕之氏に、お話を伺った。

グループの共通言語として、Wayの浸透を推進

加島

ANAグループ様は、今期から世界のリーディングエアラインブランドの確立という目標を掲げていらっしゃいますが、その戦略と人財開発はどのように進めていらっしゃるのでしょうか。

國分

ANAグループは、創立60周年を機に、「マルチブランド戦略の確立」「グループ経営体制改革」「構造改革によるコスト競争力と財務体質の強化」等の経営改革に取り組んできました。併せてANAグループ全体として目指すものを明確に示すべく、新たなグループ経営理念・経営ビジョンを策定し、CSR方針、グループ行動指針(ANA`s Way)の整理をしてきました。これらは、グループ全体が目指すものを「共通言語」にしたという認識です。
これまでは、グループ各社がそれぞれキャッチフレーズや理念を掲げてきました。いわば縦割りになっていたものを、ANAグループ横断で一体となって同じものを目指す、その拠りどころを作るということが狙いでした。
その中でも大きな取り組みだったのが、グループ行動指針(ANA`s Way)を一年かけて作り上げたことです。

加島

それはどのようなプロセスでまとめていかれたのでしょうか。

國分

経営理念はトップの想いですから、ある意味トップダウンです。行動指針(ANA`s Way)は、実際に行動を起こすのは社員なので、フロントラインを中心に様々な部署の社員から意見を聞くことから始めました。最終的には経営理念と整合性を取りましたが、こちらはボトムアップで作り上げました。
ANA`s Wayの中に、ANAのカルチャーを凝縮させているので、人事部の中に「Way推進」の専門のチームを作って、推進をしているところです。

加島

社員の反応はいかがですか。

國分

トップからのメッセージも出ていますし、人事部も大きく動き出したと認識されることで、会社の本気度が伝わっていると思います。具体的には、課長級以上の管理職には職場でのWayの浸透を業績目標とするよう義務付けました。また、役員と社員双方向のコミュニケーションを強化するため、ダイレクトトークという場をつくっているのですが、上期は「Way」をテーマに対話を行っています。身近に色々と具体的な動きがあることで、「Way」を基点にグループ全体が一丸となろうとしていることは伝わっていると思います。

加島

Wayの中で、特に強いこだわりをお持ちのことはありますか。

國分

ANA`s Wayには5つの行動指針が示されています。「1.安全」「2.お客様視点」「3.社会への責任」「4.チームスピリット」「5.努力と挑戦」です。
中でも、「5.努力と挑戦」が実現できないとANAらしさがなくなってしまう。ANAとしての勢いがなくなってしまうのではないかと思っています。
私の世代は、がむしゃらに頑張って、"追いつけ、追い越せ"を合言葉にしていた時代を経験しています。「ANAは野武士集団」だ、などとも言われていました。しかし、最近はなんとなく「普通」になっているのではないかという危機感があります。しかし今の若手層に、単に"がむしゃらに頑張る"ことを求めても、何について頑張ればいいのかがわからないでしょう。そんな想いもあって、今まで以上に、よりグローバルな視野の獲得に努力と挑戦して欲しいというメッセージを強く出しています。「努力と挑戦」、ここは大事にしていきたい部分だと思っています。

加島

熱い想い、という部分は一番目に見えにくいところですね。どのように可視化して推進していらっしゃったのでしょうか。

國分

そうですね。我々は「まず、行動をおこさないといけない」ということを大事にしてきました。
まず行動し、そのあとにチェックするのです。人事部としては「まず、行動してみる」ことができる機会と環境づくりをします。会社が機会を提供するので、社員には「努力と挑戦をしてください」という推進姿勢をとっています。 例えば、グローバル人財になって欲しいと求めても、そのための努力と挑戦を自分で一から考えていくというのは難しい。英語に関しては、TOEICの点数が一定基準を超えないと次のステップに挑戦できないといったハードルを設けています。また、人財大学のオープンセミナーや、階層別研修にグローバルの要素を入れ込んでいます。

『目指すのは「国際教養に長けた会社」』
『優先順位は「将来、致命的になるかどうか」』など、
インタビューはまだまだ続きます。ぜひダウンロードして、お読みください。

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