今回からは、「認め合う風土づくり」です。
自分がやった事が周りから認められれば、「やってよかった」「もっとがんばろう」というモチベーションアップにつながり、より自主的な行動が促進されます。
つまり、自立型の部下になるのです。
私は、メンバークラスが集まる研修で「ここ最近上司にほめられた人は挙手してください」と投げかけています。ただ、残念ながら、20人いたらそのうち手を挙げるのは1~2名というケースがほとんど・・・。中には、「褒められた記憶がない」という人までいます。
では、上司は本当に褒めていないのか?
皆さんはいかがでしょうか?
きっと褒めていると思います。いや、ともすると「褒めた気になっている」のかもしれません。相手が「褒められた」と感じなければそれは褒めたうちには入りません。
最近、「褒め方セミナー」が大盛況だそうです。
参加者が感じるのは、「これが褒めるということならば、今まで全く褒めていなかった・・・」ということ。
効果的な部下の褒め方を考えていきたいと思います。
(1)事実を具体的に褒める
しかし、多くの人は自分の強みに気づいていない・・・。先ほど例に出した新入社員も「なんとなく、格好がいいから」程度で自己実現を語っている。
「がんばってるな」「良くやった」と褒める人がいます。
しかし、部下からすると何を褒められているかわからない・・・。
つまり、あまり嬉しくありません。それどころか、「調子をとっているだけではないか?」とさえ感じることがあります。
褒める時は、「昨日出してもらった企画書だけど、お客様の課題がシンプルにまとまっててすごく良かったよ」などと事実を具体的に褒めてもらうと、「良く見てくれている」「私の努力が評価されている」と感じるようです。
(2)褒め方に自分の感想を述べる
例えば、
「○○さん、昨日の会議の司会は上手かったね。いつもよりも早く意見がまとまって、私も助かったよ」とか、
「△△商事様の受注おめでとう!私も本当に嬉しいよ」など、
自分の感想を入れます。
部下を褒めると同時に、「自分も助かった」とか「自分も嬉しい」といった、トークを入れることで、部下は「上司を喜ばせた」と感じます。
人は、誰かを喜ばせる、役に立つということにやりがいを感じます。
(3)年下の部下には笑顔で、年上の部下には真顔で
通常褒めるときは「笑顔で」思っている人が多いようです。
もちろん年下の部下でしたらそれで構いません。
しかし、年上の部下に笑顔で褒めると「軽く扱われている」とか、「バカにされているのではないか」と感じることもあるようです。
年上の部下は、上司より経験がある場合も多く、プライドを持っています。真顔で「すごいですね」「私も参考になります」等と褒めることで、真剣味が伝わり、本当に褒めてくれていると感じる事が多いようです。
誉め方にひと工夫したり、配慮するだけで、部下の喜びは大きく変わり、「もっと頑張ろう」という自立型へ向かうのです。
素晴らしいサービスで有名なリッツ・カールトンホテル。
ご存知の方も多いと思いますが、リッツにはファーストクラスカードというものがあります。他のセクションのスタッフに職責を超えてサポートをしてもらった際に、感謝の気持ちをファーストクラスカードに記してその相手に渡しています。
感謝の言葉が書かれたカードをもらったら嬉しいですよね!
自分の行動を認めてもらえたと感じるはずです。「よし、またサポートしよう」と自発的な行動が促進され、全体のチームワークが良くなります。
つまり、強いチームになるのです。
このような仕組みではなくても、ちょっとした仕掛けを入れれば「認め合う風土」が徐々に生まれます。
例えば、成果を挙げたメンバーが朝礼時に一言発表し、みんなで拍手する。
お客様から高い評価を取ったメンバーがその事例をミーティングで発表し、皆から質問を受け付ける。可能であれば、みんながあまり気づいていない陰での努力を朝礼などで取り上げ、賞賛するのは更に良い。
こんな些細なことでも、メンバーは「認められている!」と感じるのです。
中には、「助けてもらった」「行動に感心した」といったことをその人の名を記してBOXに投函し、週に1回の朝礼で発表している会社もあります。
「そんなこと・・」と思わないで下さい。メンバーも日々忙しい。他の人の行動まで目が行き届かないことも多いので、工夫をして仕組みを入れていかないと「認め合う」ことは難しいのです。
業績も風土も元気な会社は、日々の業務の中に「認め合う」工夫を入れ込んでいるところが多いようです。
認められれば、メンバーは俄然やる気になり「自立型」の方向に成長します。
最後は、上層部から認められるということの大切さです。
我々上司がメンバーを褒めるのは当然のことです。
更に嬉しいのが、部長・役員、時には社長といった上層部から直接認められるということです。
これは、「会社が私を認めてくれている」「会社として私の存在を分かってくれている」という気持ちにさせます。
結果として、会社に対する帰属意識が高まり、「この会社のためにがんばろう!」となるのです。
そのためには、我々上司がメンバーの努力や成果を上層部にさりげなく報告しておくことです。会議の際、一緒に食事を取っている際、いつでも結構です。
自分が手伝った仕事であっても、「これは、○○さんがいたからうまくいった」と報告し、花を持たせてあげることが大切。そうすれば、廊下やエレベーターでメンバーが上層部とすれ違った際に「最近がんばっているみたいだね」と一声掛けてもらえるのです。
その瞬間がどれだけ嬉しいか!
しかし、ともすると上層部にメンバーの物足りなさを嘆く人もいます。
ともすると、「○○さんがいるから、自分は苦労している」といったことをアピールする人さえいます。
このようなコメントは巡り巡って本人の耳に届くものです。「自分は期待されていない」「認められていない」と感じるのは明白。自立型どころか、モチベーションが大きくダウンします。
メンバーのモチベーションが下がって一番困るのは?
それは、あなたです。
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