この直間比率は正確な統計がありませんので、明確な議論はできないのですが、多くの経営者は他社との比較を非常に気にしています。おそらく間接比率が高いと思っているからでしょう。収益拡大を行うには、直接部門の人員を増やし間接部門の人員を削減することが、効率的であるという認識からです。まあ間接部門の人員や人件費が多いと思っているのです。
間接比率が高いことが、問題であるとストレートに導かれるものではなく、収益に貢献していない人材が多く存在しそうであることが問題です。そのために直間比率で判断するのは、あまり論理的ではないのです。
直間比率を気にする企業の多くは、高齢化で営業や生産の第一線で活躍が困難な社員を、間接業務に配置するなどのような、間接部門を活性化しない人材の配置場所に使っているようなケースが多く見られます。このような企業では間接部門の人材は、本当に間接業務の屋台骨を背負っている優秀な人材と、直接では使えない人材が入り交じっています。間接部門のコア社員、ハイパフォーマー社員にとっては非常に迷惑な話でもあります。
不健康な人ほど他人を気にするように、不健康と分かっているのですが、その不健康さを証明する手段が十分でないために、理論的な検証ができない”直間比率”の他社比較に頼ろうとするのです。実際には他社比較よりも自社の直間比率の推移のほうが分かりやすいでしょう。さらに直接と間接の境界線がわかりづらくなってきているため、各部門や機能の人員数比率や人件費比率を管理した方が現実的です。過去の自社の比率を管理していないで、突然定義が曖昧な他社との比較を用いてもほとんど有意な情報は得られません。
多くの企業の場合、問題は直接、間接の比率ではないのです。別なところに問題があります。直間比率を気にする必要は全くないということです。
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