日本人のセールスマネージャーが営業チームをどなりつけて業績不振についてこきおろしても、生産的とはいえません。モチベーションが下がって悪循環に陥るだけだからです。顧客の最善の利益はたちまち忘れ去られ、やがて「傷」が広がっていきます。絶えず過去の失敗を引き合いに出すのではなく、物事を前向きに捉えてチームのパフォーマンスを新しい方向に向けることが必要です。
以下は、セールスチームを成功に導く環境作りの5つのコツです。
セールスが非常に内向きになる場合があります。常に数字に目を通して既存の顧客を重視するあまり、周囲の事に気づかなくなります。世界を「我々」と「彼ら」に分類すると、重点分野を明らかにするのに役立ちます。残念なことに、この区別が社内で行われることがよくあります。マーケティングやIT、生産現場のせいだとか、セールス以外で悪者扱いできる人ならだれでも構いません。批判するエネルギーがあるなら、ライバルに向けた方がよいでしょう。激しいライバル争いはモチベーションの源であり、他のセールスチームに勝つことは負けず嫌いの営業職にふさわしい目標ですので、外に対してライバル心を燃やすことです。
高収入の源泉
セールス担当者の収入に上限がなければ、モチベーションは高まります。至極当然です。残念なことに、社長やセールス担当役員はセールス担当の給料が自分の給料より多いと知ると、自尊心から歩合制の報酬制度に待ったをかけることがあります。エゴや強欲のせいで優れたセールスの仕組みを骨抜きにしたり撤廃するのは馬鹿げていますが、現実に起きることも事実です。
歩合を減らす代わりに、上限を設けないで結果につなげれば、双方にとって有利です。日本では100%歩合制は珍しく、基本給と歩合制を組み合わせた制度が一般的です。収入に上限がないことを全員がわかるようにすれば、基本給の割合を低く抑えることができビジネスとしては得策です。業績が上がるのに時間がかかる、あるいは業績が上がらなければ、実際の固定費は低いままで済みます。セールス担当が成功すればするほど、入社してもらいたい優秀な人材にとっても、あなたの会社の魅力は増すでしょう。
自己開発の重視
セールスの基本を怠り、はしょることはできません。優れたアスリートやスポーツチームは毎シーズンの最初に基本に戻ります。セールス担当も同じです。定期的に基本に立ち返ることで悪い癖をなくし抑えるわけです。
あなたのプレゼンテーションが退屈になることもあるでしょう。顧客は1度しか聞かなくても、セールス担当が同じプレゼンを1週間に20-30回行うことがあります。どんなに優秀なセールス担当でもルーチンばかりだと、はしょったりベストプラクティスを削ったり、つじつまの合わないところが出てきたり油断します。プレゼンテーションを変える刺激やセールストークに新たなアイデアを採りいれることが必要です。トレーニングやセールスキャンペーン、業界関連の会議やイベントへの参加、読書やオンラインコースでのサポートなどはすべて、セールス担当にとってとっておきの刺激です。
自立心
映画「摩天楼を夢見て」では営業のリード(優良顧客情報)が非常に貴重とされて、会社の金庫に保管されていました。会社からのリードに頼っていないのはアル・パチーノ演じるトップセールスのリッキー・ローマだけです。このストーリーが言わんとしているのは、セールス担当をマーケティング部門やウェブからのリードに依存させてはならないということです。
営業は生産、独立、実行力に責任を持つことに尽きます。冷静な粘り強さ、創造力、自由闊達、成功志向を持つことが重要です。セールスとはあくまでも結果で判断されるため、採用に際して、「我が社のやり方はこうだ」とはっきりさせておくべきです。
ほめて報いる文化
自立心のあるセールス担当にほめ言葉や賛辞は必要ないと思われるかもしれません。そんなことはありません。セールス担当の競争心とエゴをくすぐってもらいたい欲求を過小評価することは禁物です。
セールスにおける卓越したリーダーシップは、人材を育てプロセスを管理します。マクロ環境に加えて細かい点に注意を払えば、セールス組織に持続的な好業績の文化が築かれるでしょう。
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