「Well-being」は企業や社員に何をもたらすのか
私は幸せの研究、幸福学、幸福経営学の研究をしております。今日は「企業と働き手がともに“幸せ”になるためには?〜科学的な分析に基づくWell-beingの高め方〜」というテーマでお話を進めてまいります。まず、皆さんは「幸せ」を英語で何と言いますか? 多くの方が「幸せ」=「Happiness」だとお考えになるでしょう。しかし、実はHappinessという言葉の意味は狭く、「感情としての幸せ」に限られています。つまり、美味しいものを食べて「幸せだなぁ」と感じる数分間など、短時間の心の状態を示す言葉なのです。しかし人生には、もっと長い期間を振り返ってしみじみと幸福感を抱く瞬間もあるわけで、その感情を表す言葉として日本でも近年よく使われるようになったのが「Well-being」です。
Well-beingを辞書で調べてみると、「健康」、「幸せ」、「福祉」と記されています。「幸せ」だけでなく、「健康」や「福祉」までひとつの単語で表すことを意外に感じる方がいらっしゃると思います。Well-beingはWell=「良い」とbeing=「状態」で構成される単語ですから、健康=身体、幸せ=心、福祉=社会を良い状態に保つという意味になり、つまりはHappinessよりも広義な「幸せ」を表す言葉になるわけです。
- 1