本記事では、HR総研が実施した新卒採用動向調査や、新卒ダイレクトリクルーティングサービス「dodaキャンパス」を提供する株式会社ベネッセ i-キャリアが学生に実施したアンケートから、新卒市場における企業・学生のトレンドを読み解きます。
「マス型採用」から「個別型採用」へ、転換期を迎える新卒採用のトレンド
HR総研が2020年10月に実施した新卒採用動向調査によると、新卒採用における一番の課題は、「ターゲット層の応募者を集めたい」が45%と、他の項目を大きく引き離しました。また、「採用方法を見直したい」も22%と上位に位置づけられています。企業はターゲットとなる人材を集めることに苦戦しており、従来の採用方法に課題を感じているのでしょう。(出典)HR総研2021年&2022年新卒採用動向調査
2021卒では、「マス型採用に注力した」と「マス型採用を主軸に個別採用にも取り組んだ」と回答した企業の合計が半数を超えていました。一方で2022卒になると「個別採用に注力する」と「個別採用を主軸にマス型採用にも取り組む」が合計で過半数を占めています。
大量の母集団を形成して選考する「マス型採用」から、自社が必要とする人材をピンポイントで採用する「個別採用」へと、トレンドが変わっていることがわかります。
こうした変化の背景には、多様性の尊重や「ジョブ型雇用」の浸透など、企業と働く人との関係性が変化していることや、「自らのスキルや強み、得意なことを評価してほしい」という学生の意識が強くなっていると推察できます。
しかしながら、2021卒で「個別採用に注力した」企業は33.3%、2022卒で「個別採用に注力する」は34.0%と、ほぼ横ばいです。採用の主軸は「マス型」から「個別」へと転換しつつあることは確かですが、現在は過渡期ということもあり、多くの企業が「マス型」と「個別」を併用しているようです。
■新卒採用における採用手法について、貴社の「マス型採用」(就職ナビや合同企業説明会など)と「個別採用」(少数または1対1)の比重を教えてください。
企業側の活用が進むダイレクトリクルーティングですが、学生側の利用状況はどうなっているのでしょうか。
2023卒学生(2年次12月時点)に実施した「よく利用している就活・キャリアサービス」の調査結果をみていきましょう。本アンケートは「dodaキャンパス」利用学生を対象としているため、「dodaキャンパス」の回答がトップになりましたが、「マイナビ」「リクナビ」といった就職ナビサイトも多くの学生が利用しています。この結果から、一定数の学生がダイレクトリクルーティングとナビサイトを併用して、就職活動を進めていることがわかります。
学生が元々認知している企業や、志望度が高い企業に対しては、就職ナビサイトから応募する方が検索しやすく効率的です。他方、学生からは探しにくい、知名度の低い中小企業やBtoB企業などに関しては、ダイレクトリクルーティングサービスに登録しておけば、企業からのオファーを待つことができます。このように、アンテナの高い学生は、多様な手段をミックスして自分に合う企業を見つけようとしているのです。
※「dodaキャンパス」利用学生を対象にしたアンケート
(出典)【ベネッセi-キャリア】2023卒学生への就職活動に関するアンケート調査結果
※2023卒学生(2年次12月時点)
逆求人サイトに自らの強みを登録し、「企業からのオファー」を受ける学生が増加
2022卒理系院生の就職活動動向調査(2021年1月)によると、理系院生が逆求人サイトなどのダイレクトリクルーティングツールで、企業からのスカウトを受けた経験の有無について、60.3%が「ある」と回答しました。専門性の高い理系院生は、自らの強みやスキルを逆求人サイトなどでアピールしやすく、また企業側から見てもターゲティングがしやすいことから、ダイレクトリクルーティングと親和性が高く、活用が進んでいるといえます。特に昨今はAI・データサイエンス領域を専攻する学生に注目が集まっていることからも、理系院生に早い段階からアプローチする企業が増加しているのでしょう。
この後、下記のトピックが続きます。
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●「企業からのオファー」を受ける学生が増加
●求める学生に対して、効果的なアプローチを行うタイミングとは
●2023年卒学生の就職活動動向について
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