そんな中で注目されているのが、企業から学生にオファーを送る、いわゆる「逆求人サイト」と言われるダイレクトリクルーティングサービスだ。今後、新卒採用市場はどのように変化し、ダイレクトリクルーティングサービスはどのような役割を果たすのか。株式会社ベネッセi-キャリア 新卒事業本部 本部長 大竹 航氏と
と、ProFuture株式会社 代表取締役 寺澤 康介が議論を展開した。
プロフィール
大竹 航 氏プロフィール
株式会社ベネッセi-キャリア 新卒事業本部 本部長
2002年 大手総合人材サービスのインテリジェンス(現パーソルキャリア)に入社。人材派遣、人材紹介、公共など、一貫して採用・育成関連事業に携わる。その後、新卒採用領域に携わった経験から、2015年4月ベネッセコーポレーションとの合弁企業である株式会社ベネッセi-キャリアを創設。
学生・企業・大学それぞれを支援するベネッセi-キャリア
キャリア教育に力を入れるベネッセホールディングスと手を組み、事業を展開
寺澤:本日は、ベネッセi-キャリアの大竹さんと、新卒採用の現状や今後、そしてその中で期待されるダイレクトリクルーティングの可能性についてお話をしていきます。貴社は2015年にベネッセホールディングスとインテリジェンス(現:パーソルキャリア)の合弁で誕生、2017年に新卒オファー型サービス「dodaキャンパス」事業を立ち上げていらっしゃいますね。その経緯をお聞かせください。大竹氏:私は2002年に旧インテリジェンスに入社し、人材派遣、人材紹介、アウトソーシング、公共事業など、HR領域で幅広い事業を経験した後、2014年頃から新卒紹介事業に携わるようになりました。その中で、「もっと学生と企業が、公平な立場、共通の言語で会話できなくてはいけない。そのためにはもっと早いタイミングで、学生と接点を持たなければいけない」という想いが芽生えたのです。
学生・大学・企業を支援する3つの事業
寺澤:大学教育と企業採用の分断は、日本社会が抱える根深い課題です。その解決に向け、まさに貴社のスローガンである「“まなぶ”と“はたらく”をつなぐ」を掲げ、手を携えたのですね。貴社では学生・大学・企業の三者を支援する事業を展開していらっしゃいますが、その全体像について教えていただけますか。大竹氏:3つの事業の柱があります。1つ目は、「新卒紹介事業」です。転職領域では、エージェント登録が当たり前の行動になっていますが、新卒領域でも浸透しています。学生の3~4人に1人はエージェントに登録しており、ナビサイト等と併用した就職活動がメジャーになりつつあります。
2つ目は、急成長中の新卒ダイレクトリクルーティングサービス「dodaキャンパス」です。従来の就職活動は、学生が企業を探して応募するという方法でしたが、こちらは企業側が学生を特定のスキルなどでサーチしてオファーを出す仕組みとなっています。
なかでも、dodaキャンパスの特徴は、大学1年生から登録できることです。低学年学生に向けに、キャリアについて考える機会を提供したいと思う企業や、認知を拡大させたいと思う企業にとってニーズが高まっているサービスで、2021年5月時点で約67万人(4学年の合計)の学生が登録しています。
3つ目は、「大学支援サービス」です。大学におけるキャリア教育の中で、どの程度社会に通じる力が培われたのか、問題を解決するための力・思考力を測る「GPS」やビジネス・日常生活シーンを想定した英語コミュニケーション能力を測る「『GTEC』Academic」というアセスメントを独自に開発し、大学に提供しています。
企業と働く人との関係性の変化により、新卒採用市場は過渡期に
学生が納得のいく就職活動ができるように、最適な仕組みを構築する
寺澤:昨今、新卒ダイレクトリクルーティング市場が急成長していますが、これは新卒採用市場の変化が大きな要因といえるでしょう。その背景を、これから大竹さんと探っていきたいと思います。- 1