「タフアサインメント」によりリーダー人材が自らを確立していく
『進撃の巨人』は、現在の日本を代表するマンガ作品のひとつです。2009年から講談社の「別冊少年マガジン」で連載が開始し、2020年現在、全世界での紙版・電子版の累計発行部数は1億部を突破しています。NHKでアニメ化もされ、2020年12月よりファイナルシーズンが放送となる予定です。『進撃の巨人』の特徴は、作りこまれた世界観と、ロジカルながらも起伏にとんだストーリーです。「人を食らう巨人」と「壁に囲まれた人類」との戦いから始まり、やがて世界を巻き込む物語へと大きく展開していきます。ネタバレになるので詳しくはご紹介できませんが、ストーリーが進むにつれて、世界がまるで虫の目から鳥の目、そして宇宙の目にズームアウトしていく感覚が爽快です。加えて、一人ひとりのキャラクターもダイバーシティに富んでいます。
『進撃の巨人』のあらすじを端的に紹介するならば、主人公エレンが「自分が何者であるか」に気づき、やがて世界を変革する重要な存在になっていく、というものです。どこにでもいる純朴な少年だったエレンは、ある日街が巨人に襲われたことで、運命の渦へと巻き込まれていくことになります。序盤での彼は、巨人におびえる存在でしかありません。
巨人により家族を奪われたエレンは、紆余曲折を経て“調査兵団”へ。3つのうち、自ら犠牲を払ってまで巨人に挑む兵団へ入隊し、厳しい戦闘訓練を重ねます。エレンの入団動機は、ただ「巨人を駆逐したい」というものでした。しかし、自らが持つ可能性に目覚めることで、世界をも変える存在になっていきます。
生死の境をさまよう過酷な環境で、次第にエレンの心身は磨かれていきます。そして、成し遂げたいことを大志として昇華させ、世界を変える大掛かりな計画を立案し、自ら実行していくのです。
このプロセスは、まさに企業の「タフアサインメント」を通じて、リーダー人材が自分の軸を確立していく姿そのものです。もしエレンが秘めた能力を持ちながらも平和に暮らしていたら、彼の能力が世界を変える展開にはならなかったでしょう。実は『進撃の巨人』には、「リーダー人材育成」や、「ポテンシャル人材の育成プロセス」、「優秀人材を活用する方法」について示唆に富んだヒントが満載されているのです。