若手のメンバーが集まる研修で、「やらないといけない。しかし、やっていない」ことを出し合ってもらうことがあります。
 よく出てくるのが、「日報をためている」「交通費精算が遅れる」「上司への報連相」等々。このような、日常的なことであれば、やろうと思えばすぐに手をつけてクリアできます。
 一方で、「当初目標に掲げていた、月1件新規契約を挙げる」「手順書をつくる予定だったが、手を付けられていない」といった、重要課題に手が付けられていないという内容も出てくることも珍しくありません。
なぜ、このような事が起こるのか?
 一つの原因として考えられるのが、ここ数回テーマに挙げている「仕事のスピード感」が足りないということです。
 仕事のスピードが遅く、重要な課題まで手が回っていないのです。

 すると、「そうか?うちの部下は、決して仕事のスピードは遅くないぞ」という上司の方もいます。
 もしかしたら、目の前の仕事をこなすスピードはそんなに遅くないのかもしれません。
しかし、なかなか仕事が終わらず、結果的に当初課題に挙げていたテーマに手がつかない・・・。

 これは、「仕事の量が多すぎる」ということが考えられます。仕事の量が多すぎると、目の前の作業で手一杯になってしまい、時間が掛かる。結果的に「スピード感がなくなる」という事になります。

 「そうだよな・・・。でも、仕事が沢山あるんだからしかたないじゃないか」と思ってしまう人も多い。
 そもそも、その仕事、本当に自分でやる必要があるんでしょうか?

 今日から一週間程度で行なう予定の仕事を全てポストイットに洗い出してみてください。一つの仕事を一枚のポストイットに書きますから、すぐに20枚くらいになるかもしれません。

 次に、A3の紙を用意し、3つのスペースに区切ります。それぞれのスペースの端に「やめてもよい」「他の人に振れる」「自分でしかできない」と書き込みます。
 「やめてもよい」というのは、思いきってやらない、もしくは相当後回しにしても良い仕事です。
「他の人に振れる」は、後輩やアシスタント、他のセクションなどに思いきって振っても良い仕事です。それ以外が「自分でしかできない」仕事ですね。

 では、先ほど洗い出したポストイットを一枚ずつ検証し、先ほどの3つのカテゴリーに分けてみてください。

 これを多くの企業で行ないますが、「他の人に振ってよい」仕事が思ったよりあることに驚く人が多いようです。
 もちろん、「振る人がいない」場合は、自分でやるしかないのですが、「振れる」のに振っておらず、自分で抱え込んでいるのは問題です。なぜなら、それによって本当にやるべき仕事ができなくなっている恐れがあるのですから。

 このような仕事の棚卸しを、自チームのメンバーにやらせてみてください。
結構「やらなくてよい」「他の人に振れる」仕事は多いですよ。これで、重要課題に手がついていないのなら、「スピード感がない」状況になっているはず。

 このワークを渋っていると、期末に「できませんでした・・・」という部下の声がこだまするかもしれません。

多くの企業様にお伺いし、社員の皆様の効率的な動きに驚かされることがあります。午前中にお願いしたことが、午後一番に仕上がっていたり、1週間は掛かると思っていた作業が、2日後くらいに「終わりました」などと連絡が来る。

 あまりに早いので、「え、もう終わったんですか?」などと思わず口走ってしまい、「早くてご迷惑でしたか?」と気を使わせてしまったこともあります。

 一方で、ものすごくスピードが遅い文化の企業様もあります。何かをお願いして3日後位に「あの件はどうなりました?」と尋ねると、「あ、まだ取り掛かってません」ということも・・・。

 もちろん、どの会社でも仕事のスピードに個人差はありますが、会社の文化として「早い」「遅い」というのは間違いなくあります。
 その要因は様々だと思いますが、ひとつ私が感じているのが出社直後の朝の使い方です。

 イエローハットが朝の掃除に非常に力を入れているのは有名な話です。それ以外の会社でも、朝早くから会社の周辺をみんなで掃除している姿を見かけることもあります。
 このような、「朝一生懸命何かをしている」会社は大方仕事が速い傾向があります。

 掃除以外にも、朝礼だったり、業績発表だったり、ちょっとしたミーティングだったりと、何かをしている会社が「仕事が速い」会社であることが多いように感じます。

 ただ何かをすればよいのではなく、「一生懸命」やっているのがポイント。
やはり、朝何かに集中すると、その集中力がその後も持続するのではないでしょうか?

 一方で、朝「なんとなく」出社して、「なんとなく」仕事が始まる。挨拶も「ういっす」とお互い軽くしたりしなかったり。だらだらと1時間くらい経過したころに、「なんとなく」今日の仕事に手をつける・・・。
 そのような会社は仕事が非常に遅い傾向があります。「なんとなく」お昼になっている人が多いのではないでしょうか。

 我々上司としては、チームメンバーが、朝から集中して仕事に取り組み、効率的な行動で成果を出してもらいたい。
 朝、何かチームで一生懸命行うことを決めてみたらいかがでしょうか?

 次回以降は、朝の使い方を数回に渡ってお伝えします。
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