講師
大湾 秀雄氏
早稲田大学政治経済学術院 教授
東京大学理学部卒業後、野村総合研究所勤務を経て留学。コロンビア大学経済学修士。スタンフォード大学経営大学院博士。ワシントン大学オーリン経営大学院助教授、青山学院大学国際マネジメント研究科教授、東京大学社会科学研究所教授を経て2018年から現職。経済産業研究所ファカルティーフェロー兼務。専門は人事経済学、組織経済学、および労働経済学。最適な人事制度や職場組織の設計、その生産性やイノベーションへの影響等に関する理論および実証研究を行う。人事面の経営課題解決のための実務家向け研究会「人事情報活用研究会」を主宰する。著書に『日本の人事を科学する 因果推論に基づくデータ活用』(日本経済新聞出版社)。
デジタル社会の進展に伴い、経営に必要となってきた能力とは
デジタル社会の進展に伴って、経営者あるいは管理職に求められる能力は大きく変わってきています。そのひとつは、プラットフォームビジネスやクラウドを用いたサービスなどの新しい事業モデルを理解する力です。プラットフォームビジネスとはいわゆるネット型のビジネスであり、プラットフォーム企業を代表するのはGAFAなどのIT企業です。また、提供者側がクラウド上で持っているソフトウェアのリソースを従量制でリースして使うクラウドサービスは急速に拡大しています。従来のように自社で資産を所有するのではなく、外部から借りられるようになってきたわけで、このような新しい事業モデルのロジックを理解することが重要になってきています。加えて、VUCA(volatility,uncertainty,complexity,and ambiguity)と呼ばれる、変動性、不確実性、複雑性、曖昧性の非常に高くなってきた今の時代に対処する力も必要です。不確実性や複雑性が高まると経済モデルに複数解が出てきます。自社にとっての最適解がどこにあるのかを見つけ、将来ビジョンを描き、目指す姿に向けて会社や事業モデルを変革していく能力が求められるとともに、最適解がどこにあるのかなかなかわからないため、仮説を立てて新しい事業を立ち上げ、実験しながら探索していく必要性も高くなっています。
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