過去3年以内に自己都合で退職した新人・若手は約2割。退職理由は「労働環境・条件の悪さ」が最多に
昨今、業界・規模を問わず、あらゆる企業で新人や若手の「早期離職」が問題視されている。そのなかには、今の職場にいる意味が見つかる可能性があるにもかかわらず、早期に見切りをつけてしまう“もったいない離職”もあるという。新人・若手社員は何を理由に離職を決断し、一方で離職をしない人は、何が要因で現職を辞めずに働き続けているのだろうか。はじめにリクルートマネジメントソリューションズは、「過去3年以内に自己都合で退職をしたことがあるか」を尋ねた。すると、「ある」は2割弱(17.5%)、「ない」は8割程度(82.5%)だったという。
そこで、“過去3年以内に自己都合での退職をしたことがある”とした人に「退職理由」を尋ねたところ、「労働環境・条件がよくない(労働時間、休日のとりやすさなど)」が25%と最も多く、以下、「給与水準に満足できない」が18.4%、「職場の人間関係がよくない、合わない」が14.5%で上位にあがった。
離職を考えた理由は「仕事のやりがいや意義を感じない」が最多
続いて同社は、“過去3年で自己都合での退職をしたことはない”と回答した人に「離職を想起した経験」の有無を聞いたところ、「ある」が約6割(58.8%)で、「ない」が4割程度(41.2%)だったとのことだ。そこで、「ある」とした人に対して「離職したいと思った理由」を聞いたところ、「仕事にやりがい・意義を感じない」(27%)が最多だった。以下、「給与水準が満足できない」(19%)、「自分のやりたい仕事ができない」(12.8%)、「会社の将来性に不安がある」(12.3%)、「労働環境・条件がよくない(労働時間・休日のとりやすさなど)」(12.3%)と続いた。また、「職場の人間関係がよくない、合わない」(11.8%)、「今後のキャリアが描けない、目指すキャリア形成につながらない」(10.9%)といった回答も上位にあがった。
これを踏まえて同社は、「個人の仕事観として、自己実現や自己の幸福追求が、より叶いやすい組織を選ぶ傾向があるのではないか」との見解を示している。
辞めずに働き続けている理由の最多回答は「転職も検討しているが、リスクもあると感じる」
次に同社は、“過去3年で自己都合での退職をしたことがない”とした人に、「会社を辞めずに働き続けている理由」を尋ねた。すると、最も多かったのは「転職も検討しているが、リスクもあると感じる」(21.3%)で、以下、「会社がつぶれる心配がない」(18%)、「転職も検討しているが、条件に合うものが見つかっていない」(14.2%)と続いた。また、「職場の人間関係がよい、合っている」(13.3%)、「一緒に働きたいと思う人がいる」(10.4%)など「職場の人間関係」についても理由としてあがった。
この結果から同社は、「現職にとどまりながらも、現職に残る大きな理由が無かったり、在籍しながら離職を検討していたりするケースも存在すると考えられる」とした上で、「離職を思いとどまる理由として、給与や福利厚生などの制度以外の理由では人間関係の選択率も高く、組織の人間関係を向上させることも、離職を防ぐ理由になる可能性がある」と推察している。
入社後1年目の壁は「仕事に正解がなく、どうすればよいか分からないことが多かった」 が最多
最後に、同社が「入社後1年目にどのような悩みや壁があったか」を尋ねたところ、「仕事に正解がなく、どうすればよいか分からないことが多かった」(27.1%)、「与えられた仕事の意味ややりがいが感じられず、やる気が出なかった」(21.1%)、「仕事が忙しく、プライベートに割ける時間が少なかった」(19.3%)が上位にあがった。入社後1年目の壁として、「仕事の難しさ」をあげる人が多かった。同社は、「新人・若手が社会人になるまでに、仕事で必要なスキルを積みにくくなっていることが背景にあると予想できる。さらに、近年、VUCA的仕事環境と言われるように、仕事自体の難度も上がり、両者のギャップが拡大したことにより、仕事をこなせるようになるための難易度が増していると言える」とコメントしている。