よく人材育成の現場では、「視野を広げて考えよう」と言われることがあります。
これは、「視点を変えて物事を広く見ることで気づくことを多くしよう」という試みです。
この「視野」という言葉、少し整理して考えたいと思います。
第61回 視野を広げるには
まず、ある位置に自分が立ってみてください。
そこから目で見える範囲。それが「視野」です。
一方で、そこから体が宙に浮き1,000mくらい空に昇ったと考えてください。
自分を上から見る感じで俯瞰してみる。これを「視座が高まった」と言います。

視座が高まれば、当然見える範囲、すなわち「視野」が広がります。
考えて欲しいのは、最初の位置から見えた範囲と俯瞰したみたときの高い位置から見えた範囲の差です。この差を私は「伸びしろ」と呼んでいます。

なぜ「視野を広げる」ということが大事なのか。
それは、視野を広げることで、その人のこれから伸びる度合いが変わってくるからです。

伸びしろは「真っ白」です。でも視野が広がれば、ぐーんと伸びます。
経験学習で成長する人とそうでない人の差は、この伸びしろの大きさの差です。
そして、視野を広げるためには、視座を高めなければいけません。
問題はその「視座」をどうやったら高められるかです。

ここに必要なのが、「内省」と「フィードバック」。
PDCFAメソッドの「C」と「F」にあたります。

内省は自分と向き合うこと。
自分の本音と会話をして、経験を分析して新たな気づきを得ようという思考法です。

”なぜこれは起きたのか。” 
”もっと別の見方はないか。”
”自分の感情はどうなのか。”

と自分に問いかけていきます。
すると新しい行動改善のアイデアとやる気が導き出されます。

一方フィードバックは、相手の内省を引き出す声かけです。
相手に質問(問いかけ)をすることで、気づきを与えます。
ポイントはその「問い」は自分にもブーメランのように戻る点。
「人のふり見て我がふり直せ」のように、相手への問いによって自分も気づきを得るということです。

この内省とフィードバックがなぜ効果的か。
ものの見方が変わるからです。
もの見方を変えるにはどれだけ「自問」できるかです。
この「自問の習慣化」こそ、自分の視座を高めることになるのです。

経験学習というと難しいですが、これなら簡単に、誰もが取りかかれます。
ぜひやってみてほしいと思いますし、人材育成に関わる人はぜひ研修に取り入れて欲しいと思います。

さあ!
『研修担当の皆さん!「自問の習慣化」で視座を高め視野を広げさせよう!』
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~やりっぱなし研修撲滅宣言~
「研修」が変わる「行動」が変わる45の具体策

永谷研一著
『人材育成担当者のための絶対に行動定着させる技術』(書籍版)
『人材育成担当者のための絶対に行動定着させる技術』(Kindle版)

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