「リモートワーク」運用時の労務管理は従業員のウェルビーイングを注視

「リモートワーク」では、始業・終業・休憩取得について、目視によるタイムリーな実態確認が不可能になりますので、労務管理は難しくなります。代替案としてPCの起動/シャットダウンログの把握といったシステム的な対応が考えられます。しかし、おそらく多くの企業は未対応で、管理職は従業員の自己申告にもとづいて労務管理している状況かと思います。

我々もリモートワークでの労務管理のあり方は個社事情を考慮して支援している状況です。以下では、支援と合わせて現場で実施した、「長時間労働抑制」と「休憩取得促進」を目的とした取り組み事例を2つ、簡単に紹介したいと思います。

(1)会議禁止時間の設定(フレックス従業員の休憩取得推奨時間の設置)
リモートワークの場合、会議室確保や移動時間などの物理的な制約がないため、隙間なく会議が設定されることが多くなります。その結果、普段なら合間に取得していた休憩時間を取れず、休憩時間未取得につながることも考えられます。例えば、ローカルルールで12時~13時の会議設定を禁止するといった対策をすれば、休憩時間を取得しやすくなります。

(2)任意参加型の小休憩時間の設定
リモートワークでは、終日誰とも話さないまま終業することがあります。また、「テキストチャットツールだとニュアンスが伝わりにくいが、電話で聞くほどでもない」という微妙な用件が放置されることも起こりがちで、精神的な負担にもなります。こういった問題は普段は何気ない会話の中で解決されます。そこで、リモートワークでは任意参加型で「会話することが目的」の小休憩時間を日次で設けるといった「場の提供」が効果的です(管理側としては、ビデオ通話とすることで従業員の小さな変化に気づくきっかけにもなります)。

デジタル時代は労務管理にも進化が必要

「リモートワーク」に代表される「多様な働き方」の導入は、「多様な働き手」の獲得にも寄与する施策であり、今後ますます適用範囲が広がることが予想されます。適用される従業員や機会が増えるほど、労務管理は複雑になり、テクノロジーの活用は避けられません。

次回は予定していたテーマに戻り、「デジタル時代の労務管理」について考えていきたいと思います。
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