日本の経営は危ないのか?
私は日本の経営は危ないと感じています。一体何が危ないのか。それは日本の上場企業の53%が「同族企業」だということです。世界を見回しても、このような数字はどこにもありません。私は同族企業自体が悪いとは言いません。問題は、その先です。2016年発表の帝国データバンクの調査によると、全国のオーナー企業434,103社のうち、292,521社、全体の71.2%の企業で後継者が決まっていないことがわかりました。本当にこれで大丈夫なのでしょうか。社員は安心できるのでしょうか。
そしてもう一つ、着目しているデータがあります。PwC社の調査結果によると、世界トップ2,500社でのプロ経営者率は過去5年平均で23%、さらに世界トップ2,500社での国際経験のあるCEO率は45%となっています。
今後日本はこうしたグローバル企業を相手に競争しなければならないのです。果たしてこれに打ち勝てるでしょうか?
では、プロ経営者はどのようなケースで受け入れられるのでしょうか。それは2つしかありません。
1つは、オーナーや創業家からの、強力でわかりやすい「後ろ盾」があるときです。特にこのケースは海外で多く見られます。海外にも同族企業はたくさんありますが、多くの場合、2代目、3代目になるとホールディングス会社を作って、オーナー家はそこに入って、実際のビジネスはプロ経営者に任せるというパターンがほとんどです。例えば、BMW社は同族企業ですが、オーナーの顔を見たことがある社員など、ほとんどいません。
そして2つ目のケースは、絶対絶命のピンチのときです。もはや打つ手なく、新しいやり方や考え方を取り入れないといけないときに、プロ経営者が招聘されます。しかし、日本ではこうしたプロ経営者のパターンは滅多に見ませんし、あってもほとんど失敗しています。なぜなら「社内政治力」や「器用さ」が必要だからです。
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