リーダーシップは先天的か、後天的か
人事担当者としてリーダー育成で最も悩むもう一つのポイントが、リーダーは先天的か、後天的かという点です。多くの経営者にインタビューしてみると、幼いころから商才があった方や大学時代から何らかの経営またはプロジェクトリーダーの経験をされていた方が多いことに驚かされます。また、学歴と経営者の資質の関係についても悩むポイントです。東大や早慶を卒業した学生は実際、とても優秀です。こうした学生の中には、高校時代から自分の人生に目的意識を持ち、強い志とともにトップの大学を優秀な成績で卒業した人もいます。
一方でケンタッキー・フライド・チキンを65歳で創業したカーネル・サンダースや、失敗を繰り返した後に51歳で大統領になったエイブラハム・リンカーンのような人物もいます。また日本人でも、元日本マクドナルドCEOの原田泳幸氏のように、必ずしもトップ校ではない大学を出て大企業の経営者になった方もいます。こうした後天的なリーダーの方々も、実は20代~30代に事業の経験や修羅場をくぐった過去があることがわかります。こうした事例を調べてみると、リーダーシップは後天的かつ意図的に付与できるという可能性に気づかされます。
しかし、矛盾しているようですが、天賦の才能にかなうものはありません。つまり、人事担当者としては先天的なリーダーを早い段階から見極めると同時に、最初は目立たない社員にもチャンスや修羅場を与えて経営者としての才能が開花するのを待つことも重要なのではないか、と思います。いずれにしても、あらゆるリスクや可能性を考えて、後継者を絶やさないよう常に準備をしておくのが人事の務めではないでしょうか。
参考文献:経産省 平成31年2月発表「事業承継・創業政策について」(PDF)
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