次々と施策を展開し、ダイナミックに企業変革を成し遂げてきた日本電気株式会社(以下、NEC)。業績や企業価値は、この10数年で何倍にも拡大しています。変革への原動力となっているのが、人・組織への積極的な投資です。これまでに幾度か変革に挫折した経験を踏まえ、「今度こそ失敗は許されない」という経営トップの覚悟を社員全員が共有。

さらには、外部人材を積極登用することで、自社の企業カルチャーに大胆かつ的確にメスを入れてこられました。
今回は、長年に渡りNECの企業変革を推進されていらした同社カルチャー変革エバンジェリスト 森田 健氏と、出版社のノウハウやナレッジを活かして法人企業向けに独自の人材教育サービスを提供する、株式会社かんき出版 執行役員兼教育事業部 部長の山縣 道夫氏に、NECの企業変革のお話をベースとして新たな時代を担う人材育成の課題やこれからの人事に求められる役割を語り合っていただきました。(以下敬称略)

【プロフィール】


  • 森田 健氏

    ■森田 健氏
    日本電気株式会社
    ピープル&カルチャー部門 兼 コンサルティングサービス事業部門
    カルチャー変革エバンジェリスト

    ピープル&カルチャー部門にて複数のカルチャー変革プロジェクトを主導すると共に、NECの変革知見を活かし、コンサルタントとしてお客様の企業変革、カルチャー変革を支援。企業変革の実践知に基づいた組織開発が強み。1995年NEC入社。2012年より経営企画本部にて、旧態依然とした企業フレームワークの刷新に取り組む。2018年にカルチャー変革本部を設立。人事制度、働き方、コミュニケーションの3つを連動させた実行力の改革Project RISEを主導。

  • 山縣 道夫氏

    ■山縣 道夫氏
    株式会社かんき出版
    執行役員 兼 教育事業部 部長

    大学卒業後、実務書籍の出版社を経て大手人材サービス会社に15年在籍。主に大手企業へのシステムソリューションサービスを通じて企業の採用活動を支援する。2012年よりかんき出版教育事業部にて、法人向けに出版社の特徴を活かした教育サービスのソリューションパートナーとして活動、かつ新たな教育サービスを創造している。

NEC森田氏、かんき出版山縣氏

組織文化をアップデートしないと変革は実現しない

山縣:本日は、NEC様の企業変革のお話を中心に伺っていきます。まずは前提として、変革の変遷についてお聞かせください。

森田: NECは、2000年ぐらいから主力事業の撤退を余儀なくされ、一時は3,000億円もの赤字を抱えた時期もありました。それを機に、業態を大きく変える決断をしたのです。以後、3人の社長がバトンを上手くリレーしながら変革を成し遂げてきました。

まず、最初に行ったのがトップマネジメントの一枚岩化でした。全役員がNECを主語に「社会価値創造」を語れるまで徹底的に議論し、解像度を高めました。並行して、コミュニケーションの基盤となる言葉を一致させて、同じ方向に向くようにしたのです。

そして2018年に、「人」が主役のカルチャーへの変革を目指して新たに打ち出したのが「実行力の改革」Project RISEでした。ここから人的資本経営に舵を切り、人・組織への投資を強化したのです。まずは、カルチャー改革だということで、外部人材を積極登用すると共にカルチャー変革本部を立ち上げ、NEC Wayの再策定や、行動基準「Code of Values」の策定など大胆な改革を押し進めていきました。
NEC森田氏
また、今やNECに不可欠な経営インフラとなっているエンゲージメントサーベイにも着手しました。ここがターニングポイントになったと思っています。

今の社長が就任したのが2020年です。中期経営計画で、2025年度にはエンゲージメントスコア50%を目指すと宣言。それを実現するために全社方針・戦略の浸透など3領域に集中投資をしています。

山縣:ありがとうございます。長年、企業変革に取り組まれてお気づきになられたことはございますか。
かんき出版山縣氏
森田:ビジネスモデルを変えるとなると、経営企画を中心に色々な施策を展開しがちですが、なかなか成果が出ません。僕はOSと言っていますが、組織文化をアップデートしないといけないのです。

山縣:どうやったらOSをアップデートできますか。


この後、下記のトピックが続きます。
続きは、記事をダウンロードしてご覧ください。

●NECの企業変革の変遷
●組織文化をアップデートするための効果的な施策
●企業のミッションや行動基準をどう現場へ浸透させてきたか
●リーダーに求める役割とスキルとは
●組織変革をやり遂げるために人事に求められること
 -経営者や事業に興味をもつ
 -マーケットインの視点

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