紙媒体中心の採用からリファラルへの転換へ
globは、2,500名を超える従業員(2017年3月末アルバイトパート含む)を抱え、これまで紙媒体の求人チャネル1本で採用を進めてきた。2011年の7店舗から始まった採用の求人チャネルはおおよそ、紙媒体が大半を占め、ネット経由と従業員紹介は2~3割であった。2014年頃からこのバランスは変わってきており、2017年では紙媒体とネット経由・従業員紹介の割合が逆転している。なんと、リファラル採用が4割超えとなっている状況なのだ。この現象について、橋本氏は、自然発生的にリファラル採用に移行していたと分析する。スマホが普及し、乱立する広告の中では自社のホームページを見てもらうことも困難。店長には日頃から「売上をあげるために、まずは人の確保」との意識改革を行ってきた背景があると説明された。
2018年はツールを導入し、さらに強力にリファラル採用を推し進めている。導入から4ヵ月が経過した時点で100名以上のリファラル採用が行われたそうで、目標採用人数の達成に期待が高まっているそうだ。
スタッフとの信頼関係構築へ、「リファラル採用という文化を根付かせる」
globが行っている取り組みとして、以下の2つが挙げられた。1. 店長研修での講義
2. 全従業員への周知ポスター掲示
全国から店長が集まる定期的な集合研修において、現状の採用マーケットの分析を踏まえ、リファラル採用の重要性の落とし込みに注力している。リフカム導入から3カ月経過時には振り返りの実施や成功、失敗体験の共有ができているという。また、アルバイトの休憩室にリファラル採用を紹介するA4サイズのポスターを掲示し、QRコードから気軽に参加してもらうフローも整えられているそうだ。
特筆すべきは、成功体験として紹介された、新規アルバイト者の初日のオリエンテーション。リファラル採用を説明し、その場でアプリをダウンロードしてもらう取り組みを行っている。
また、失敗例にも触れており、スタッフとの関係が良好でない店長の店舗ではリファラル採用が進まないということだった。今後は、「スタッフとの関係がうまくいかない店舗でリファラル採用をどう機能させていくか」が課題だという。
同社は「中長期的視点ではリファラル採用しか残らない」と考えているおり、そのうえで、「導入初期にコストがかかるが、社内でリファラル採用という文化を根付かせることが一番大事」と成功に何が必要かを示した。
さらに来月からは、報奨金制度とは別に、紹介者数上位10名に対してノベルティを渡す1ヵ月限定キャンペーン企画を予定するなど、新たな取り組みも紹介。リファラル採用への強い意気込みを見せた。
参加者の質問
Q. 従来の方法(紙媒体、インターネットなど)では、人材確保が難しいと感じた要因は何でしょうか?A. アルバイト先を探す立場に立って考えれば、ネット媒体、広告経由は面倒と感じ、今やパソコンさえも見ておらず、スマホだけで足ります。そんな彼らが応募しやすい環境を考えた場合、リファラル採用しかありませんでした。
Q.今回のリファラル採用支援ツールのRefcome導入にあたって、新入スタッフのオリエンテーションに対して、現場での店長の反応はいかがでしたか?
A. きちんと理解できている店長は前向きに取り組んでいます。逆に取り組めていないのは、取り組みに対しネガティブだからというよりは、理解できていないためだといえます。店長に対してのアクションが今後の課題であり、キャンペーンなどの施策を通して全体的な意識の向上を図っています。
Q.リファラル採用の説明をしてから、紹介の声があがるまでの期間は?
A. 店長の意識が高い店舗では、オリエンテーションの研修の翌日には反応がありました。
Q. 店長会議で啓蒙活動をしていた際に、店長が動く効果的な言い方はありましたか?
A. 話す内容は同じでも、研修で社長の口から伝えてもらうのが効果的です。トップを巻き込むことが、会社全体の取り組みといえます。
Q. 従業員と関係のよくない店長はリファラル採用がなかなか進まないということだったが、逆にうまくいく理想の店長像とは?
A. アルバイトの方と多くのコミュニケーションを取れるのが、優秀な店長像です。それも、社内SNSなどではなくアナログなやり方で。出勤するアルバイトの方の目を見て「おはよう」、「今日も頑張ってね」と単純な声かけが100%できるということが大切です。
アルバイト領域におけるリファラル採用の成功の秘訣は「店長の人的魅力」が重要。これは言い換えれば、店長を介してスタッフ全員が会社に対してのロイヤリティーを高めることが、成功の必須条件ともいえる。リファラル採用の導入の検討時は「従業員満足度」を調査し可視化することも選択肢の一つであろう。
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