非メーカー系で多いアルバイト採用
2012年にアルバイト採用をしたかどうかを聞いたところ、2つのことがわかった。1つはメーカー系よりも非メーカー系の方がアルバイトを採用する比率が高いこと。どの企業規模でも非メーカー系が10ポイント以上高く、「301名~1000名」や「300名以下」では20ポイントも違っている。
もう1つわかったのは、業種を問わず「301名~1000名」がアルバイト採用の比率が高いことだ。アルバイト採用については昨年5月にもアンケート調査を行ったが、その時も同じ結果になっている。
図表1:2012年にアルバイト採用を実施したか(メーカー系、企業規模別)
図表2:2012年にアルバイト採用を実施したか(非メーカー系、企業規模別)
ニーズが大きいアルバイト採用
アルバイト採用を行った企業に前年比での増減を問うてみた。全体の数字を紹介すると、「前年並み」が最多で6割だ。「増えた(2倍以上)」8%と「増えた(2倍未満)」18%を足すと26%になる。
「減った(5割未満)」は6%、「減った(5割以上)」が8%、合わせて14%になる。「増えた」が10ポイント以上多く、アルバイトに対するニーズは大きそうだ。
図表3:アルバイト採用実施企業の年間アルバイト採用数の前年比較
「人柄」重視のアルバイト採用
アルバイトの選考基準で最も重視されるのは「人柄」(61%)だ。続く「熱意」「可能な勤務時間帯・曜日」「職務経験」「スキル」はいずれも4割前後だから、かなり大きな差がある。
中途採用で重視されるのは「職務経験」と「スキル」、そして3位が「人柄」だから、採用のモノサシが異なっている。
図表4:アルバイト採用の選考での重視ポイント
企業規模の違いが目立つアルバイトの採用手段
アルバイトの採用手段では、「ハローワーク」(51%)が圧倒的に多い。「アルバイト求人サイト」(32%)より20ポイント近く多い。「ハローワーク」は地域密着型なので、まずハローワークに求人を出し、応募が少なければ他の手段を使うというケースが多いと思われる。
また「自社ホームページ」は23%だが、企業のホームページでアルバイト先を探す人は皆無なので他の手段で求人情報を出し、補助的なメディアとして採用ホームページに情報を掲出しているものと考えられる。
企業規模別の違いも大きい。ほぼどの手段でも規模が大きい企業ほど使用比率が高く、小さいほど低くなっている。大企業ほどアルバイト採用がシステム化されているからかもしれない。
図表5:アルバイト採用の採用手段
いい人材はアルバイトでも入手困難
アルバイト採用の応募状況について問うてみると、規模が小さい企業の満足度が高いという結果になった。「量・質ともに満足できる応募状況だった」と回答したのは「1001名以上」で27%、「301名~1000名」で26%と3割を切っているが、「300名以下」では35%と高い。
とはいえもっとも多いのは「量・質ともに満足できる応募状況ではなかった」という回答であり、「301名~1000名」の企業では46%と半数に近い。いい人材はアルバイトでも入手困難であるようだ。
図表6:2012年にアルバイト採用募集を実施した企業の応募状況
非メーカー系の「1001名以上」は過半数が課題を「とても感じている」
アルバイト採用に課題を感じているかを問うたところ、興味深い差異が浮かび上がった。まず業種を問わず課題を感じているのは大手が多い。「とても感じている」と「まあまあ感じている」を合わせた数字は、メーカー系の「1001名以上」で75%、非メーカー系では86%に達している。これは多すぎると思う。
また非メーカー系の「1001名以上」は「とても感じている」が57%と異常に高い。この規模の非メーカー系ではアルバイトを社員と同程度の戦力としてカウントしているので、課題になっているのではないだろうか。
図表7:アルバイト採用における課題を感じているか(メーカー系、規模別)
図表8:アルバイト採用における課題を感じているか(非メーカー系、規模別)
最大の課題は「求めるレベルの応募者が少ない」
アルバイト採用における課題とは何だろうか? もっとも大きな課題は「求めるレベルの応募者が少ない(59%)」だ。「応募者の数が少ない(45%)」「ターゲット外からの応募が多い(28%)」もかなり多いが、これらも「求めるレベルの応募者が少ない」と同じような悩みと考えていいだろう。
採用コストや定着率も頭痛の種だ。「求人広告、紹介手数料予算がかさむ」は19%ある。「採用後の定着率が悪い」は16%である。この2つの項目はメーカー系では低く、非メーカー系で高いスコアになっている。
図表9:アルバイト採用の課題
アルバイトから正社員への登用は、メーカー系で半数、非メーカー系で7割
アルバイトから正社員への登用はかなりあるようだ。登用制度を設けているのはメーカー系では32%と少ないが、非メーカー系では51%と半数が登用制度を持っている。
また「制度はないが実績はある」を加えるとメーカー系でも半数(51%)になり、非メーカー系では7割に達する。
図表10:アルバイトから正社員への登用制度
新卒や中途採用なみにアルバイト採用を重視
アルバイト採用の工夫を見ると、新卒や中途採用なみにアルバイト採用を重視している企業が多いことに驚く。
「アルバイトは店舗販売スタッフが中心。その為、自分が働くイメージを持てるよう現場の状況が解る写真を使用している」(繊維・アパレル・服飾、301名~500名)
「現場責任者にも面接官として面接に出席させている」(医薬品、101名~300名)
「全国どこの拠点のアルバイトを採用する時も、新卒、中途採用と同様、最終選考は社長面接をしている。遠方の拠点より来社してもらう際は、交通費(新幹線or飛行機)を支給している。ゆくゆくは正社員登用できる人材を採用するため、中途採用と同じ筆記テスト(適性と能力)を実施し、合格ラインも同じである」(情報サービス・インターネット関連、101名~300名)
「職場見学を行う」(建築・土木・設計、301名~500名)
将来の正社員登用を視野に入れてアルバイト採用している企業が多そうだ。
【調査概要】
調査主体:HR総合調査研究所(HRプロ株式会社)
調査対象:上場および未上場企業の人事担当者
調査方法:webアンケート
調査期間:2012年12月14日~12月27日
有効回答:511社(1001名以上 84社, 301~1000名 182社, 300名以下 245社)
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