HR総合調査研究所(HRプロ)は、2012年4月20日~5月2日に人事担当者に対して「2013年新卒採用中間総括アンケート調査」、4月16日~26日には大学キャリアセンターに対して「就職指導に関するアンケート調査」、4月23日~5月2日には楽天「みんなの就職活動日記」と共同で就活学生に対して「2013年卒就職活動動向調査」を実施した。企業、大学、学生のそれぞれの現状を分析するとともに、2014年新卒採用へ向けての動向を探る。
レポートを2回に分け、初回はプレエントリー、説明会、選考開始時期にフォーカスしたい。

半数近くがプレエントリー数減少

採用広報がスタートした12月1日に、学生は就職ナビに殺到し、サーバダウンなどのアクシデントが起きたが、プレエントリーの数は増えたのだろうか?
 「昨年並み」が34%、「多い」が合計21%に対して、「少ない」と答えた企業は合計45%に及ぶ。広報開始日直後こそプレエントリーの勢いはあったものの、広報期間の短さがそのまま数の減少に繋がっている。面白いのは、必ずしも企業規模で大きく明暗が分かれているわけではないことである。消費者としてなじみのある企業は強く、普段の生活で目に触れることのない、いわゆるB to B企業は苦戦している構図となっている。業界・企業研究がり、12月以前にはほとんど進んでいなかったということだ。

図表1 プレエントリー数の前年比

「2013年新卒採用 中間総括レポート」【1】

プレエントリー数を学生調査で見ると、文理で大きな違いがあることがわかる。
 文系は「1~20社」「21~40社」「41~60社」「81~100社」が10%台で高原状態。例年と比べると、1社から80社までのプレエントリー数が増えており、100社を超えるプレエントリーは減っている。プレエントリー期間の短縮がそのまま影響したと思われる。

図表2 プレエントリー数(文系)

「2013年新卒採用 中間総括レポート」【1】

理系は「1~20社」が最多で3割超。続いて「21~40社」で2割強。3番目が「41~60社」で15%ときれいなカーブを描いている。2011年卒、2012年卒と比べても、あまり大きな変化はない。理系の減少カーブ、文系の高原型カーブという特徴は毎年のことだ。

図表3 プレエントリー数(理系)

「2013年新卒採用 中間総括レポート」【1】

説明会に参加する学生も減っている

会社説明会の参加学生数は、「少ない」と回答した企業が28%、「多い」と回答した企業が27%と拮抗しているが、昨年は「少ない」と回答した企業は25%で「多い」は3割を超えていたから、減少傾向が読み取れる。ただし、プレエントリーの減少率から見れば、会社説明会に参加する学生の減り方は緩やかだったと言える。

図表4 説明会参加者数の前年比

「2013年新卒採用 中間総括レポート」【1】

企業規模で差がある学内セミナーへの参加

近年は就職ナビだけに依存するのではなく、ターゲット大学との関係を重視する採用手法に注目が集まっている。学内セミナーにはどの程度の企業が参加しているのか?
 学内セミナーへの参加は企業規模によって大きな違いがある。「1001名以上」ではほとんどの企業が参加しているが、「1~300名」では43%と半数近くの企業が参加していない。採用担当者が少なく対応が困難ということもあろうが、大学からのお誘いがかからないという理由も大きいだろう。

図表5 学内セミナーへの参加状況

「2013年新卒採用 中間総括レポート」【1】
「2013年新卒採用 中間総括レポート」【1】

学内セミナーの参加校数も規模が大きいほど増やしており、小さくなるほど増やす企業の比率は少なくなる。

図表6 学内セミナー参加校数の増減

「2013年新卒採用 中間総括レポート」【1】

大学側のデータを見ても、学内セミナーの開催回数、参加企業数、参加学生数は増大している。とくに参加企業数は34%の大学で増え、参加学生数は39%の大学で増大している。学生数の増大はキャリア教育の成果かもしれない。また大学の規模が大きいほど、学内セミナーに力を入れているようだ。

図表7 学内セミナーの開催回数、参加企業数、参加学生数

企業から見た面接者数と、学生の面接社数の比較

「2013年新卒採用 中間総括レポート」【1】

面接者数についても前年比で「少ない」と回答した企業が25%、「多い」が18%と減少傾向は変わらない。2012年卒と比較する「少ない」も「多い」も微減している。

図表8 面接者数の増減

「2013年新卒採用 中間総括レポート」【1】

学生側のデータを見ると、2013年卒文系で最も多い面接社数は「4~6社」、続いて「10~14社」と「7~9社」。この4~14社で全体の45%を占めている。

図表9 面接した社数(文系、3年比較)

「2013年新卒採用 中間総括レポート」【1】

理系は傾向が違う。4~14社がボリュームゾーンであり、61%を占めている。全体的に文系よりも面接社数は少ない。理系は、実験等のために就活に割けられる時間自体が文系よりも少ないことや、推薦応募も一定数あることによるものだろう。

図表10 面接した社数(理系)

2~4月に集中した選考開始時期

いつから選考を開始するのかは悩ましい問題だ。経団連の倫理憲章は4月以降の開始を求めているが、基本的には企業の自由である。
 2013年卒では3月(20%)と4月(24%)に開始した企業が多く、とくに「1001名以上」の企業では3分の2が3月と4月に選考を開始している。「301~1000名」の企業では、2月に開始した企業もかなりある。

図表11 選考の開始時期

「2013年新卒採用 中間総括レポート」【1】

気になるのは2012年卒との違いだ。昨年は選考開始時期が、東日本大震災に対する対応方針の違いにより平坦に分散していた。2~4月に開始する企業が多かったが、5月、6月開始の企業もあった。
 しかし、2013年卒では2~4月に集中している。12月の採用広報の開始から時間がなく、学生は選考開始への対応で忙しかったはずだ。

 次回は、内定学生の活動継続意向やそれぞれが考えるあるべき採用広報開始時期などについてレポートする。

【調査概要】

■企業調査
調査主体:HR総合調査研究所(HRプロ株式会社)
調査対象:上場および未上場企業の人事担当者
調査方法:WEBアンケート
調査期間:2012年4月20日~5月2日
有効回答:520社(「300名以下」276社、「301~1000名」157社、「1001名以上」87社)

■学生調査
調査主体:楽天「みんなの就職活動日記」(協力:HR総合調査研究所)
調査対象:就職活動中の大学生・大学院生
調査方法:WEBアンケート
調査期間:2012年4月23日~5月2日
有効回答:3,910名(文系2,301名、理系1,609名)

■大学調査
調査主体:HR総合調査研究所(HRプロ株式会社)
調査対象:全国の国公私立大学キャリアセンター・就職部
調査方法:調査票を郵送してFAXにて回収
調査期間:2012年4月16日~4月26日到着分
有効回答:279校

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