HRプロ株式会社では、11月下旬~12月上旬にかけて、「HRプロ」会員の人事担当者を対象に「管理職研修に関するアンケート調査」を実施した。今回は、その結果をもとに、各企業が抱えている課題についてみていきたい。

今年度内に管理職(主に課長職)を対象とした研修の有無を問うたところ、3分の2の企業が「実施した(実施予定がある)」と回答。「実施を検討中」の企業も含めれば、全体の4分の3に上る。「管理職」に対して、各企業が何らかの課題を抱えていることを表している。
実施した(実施予定含む)研修でもっとも多かったのは、「マネージメント研修」。他の研修を大きく引き離す形となった。今後、管理職に特に習得・強化を求める能力でも、同様に「マネジメント力」が他の能力を30ポイント以上引き離してトップである。

今年度、管理職(主に課長職)対象の教育・研修を何か実施されましたか(年度内の実施予定を含む)。

「管理職研修に関するアンケート調査」結果報告

今年度内に管理職(主に課長職)を対象とした研修の有無を問うたところ、3分の2の企業が「実施した(実施予定がある)」と回答。
「実施を検討中」の企業も含めれば、全体の4分の3に上る。「管理職」に対して、各企業が何らかの課題を抱えていることを表している。

「管理職研修に関するアンケート調査」結果報告

管理職(主に課長職)研修の実施の有無を従業員規模別に見てみると規模によって大きな差があることがわかる。「1001名以上」の大手企業や「301名~1000名」の中堅企業では8割以上の企業が実施しているのに対して、「300名以下」の中小企業では実施したのは4割強に過ぎない。
中小企業の人材開発に対する意識の遅れもあるかもしれないが、研修対象者の多寡によるところや、課長と部下とのコミュニケーションが比較的うまく取れているのかもしれない。

「実施した(実施予定がある)」を選択された企業様にお伺いいたします。教育・研修の内容として、近いものをお選びください。(複数回答可)

「管理職研修に関するアンケート調査」結果報告

実施した研修内容では、「マネージメント研修」が85.4%と圧倒的である。逆にいえば、基本的なマネージメントができていないということであり、これは根の深い問題である。
その他、実施された研修を見てみると、「考課者研修」が35.4%で次点。新任管理職には必須の研修であるから、妥当な数字であろう。次には、「コーチング研修」や「意識改革研修」を差し置いて「コンプライアンス研修」となった。3割の企業が実施している。
近年、コンプライアンス違反が企業の信用を失墜事例が相次いだことに対応したものであり、今後さらに増えていくものと思われる。

「その他」として回答が多かったのは、「メンタルヘルス研修」。
「その他」と回答した企業の5割以上を占める。

貴社の管理職層(主に課長職)における課題は何だと思われますか。

「管理職研修に関するアンケート調査」結果報告

この設問では、こちらで選択肢を用意するのではなく、企業にフリーコメントでの回答を求めた。ただし、結果的にはほとんどの企業の回答は左記に集約される形となった。
現場の課長職は、その多くがプレイングマネージャーであり、自分の数字・業務を達成するのに精一杯で、部下の育成にまで手が回っていない。ただし、会社側もプレイヤー兼任の管理職ではない、専任の管理職を配置する余裕もなく、ジレンマに陥っている姿が垣間見える。

人材開発上、管理職(主に課長職)に特に習得・強化を求める能力・スキル・知識は何ですか。(複数回答可)

「管理職研修に関するアンケート調査」結果報告

管理職に特に習得・強化を求める能力・スキルでは、「マネジメント力」が次点の「組織統率力」に30ポイント以上の差をつけてトップ。以下、「コーチング力」「意識改革力」と続く4つの能力に、企業の期待は集中している。
一方、「交渉力」「人的ネットワーク系勢力」といった、プレーヤーにも求められる能力はそれほど高くない。
実際の現場はプレイングマネージャーであることが多いものの、あくまでもプレーヤーとしてよりも管理職としての職務を果たしてくれることを望んでいるようである。

【調査概要】

調査主体:HRプロ株式会社
調査対象:「HRプロ」会員の人事担当者
調査方法:WEBアンケート調査
調査期間:2010年11月28日~2010年12月9日
回答社数:145社

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