その調査結果を今回から2回にわたって、「新入社員研修」及び「管理職研修」について報告する。
第1回では、「新入社員研修」と「メンター制度」、「新入社員フォロー研修」について、昨年度の結果と比較しながら最近の動向を検証する。現場の実態が垣間見える、悩ましい課題も数多く寄せられており、その一部も抜粋して紹介したい。
<概要>
●「新入社員研修の内容」は昨年から顕著な変化は無く、
大企業では「自社の歴史や理念の浸透」の機会として効果的に活用しているようだ。
●「研修の実施形態」は業種(メーカー、非メーカー)により異なる。
●「メンター制度」は昨年より実施する企業の割合が上昇し、必要性が認識されつつある。
●「フォロー研修」は昨年より実施する企業の割合が低下しているものの、
中小企業では半年以内に実施する傾向がある。
●フォローの課題として、「メンタルケア」は昨年度に引き続き重要視されている。
「会社の歴史・理念」を浸透させたい大企業
「新入社員研修の内容」については、「マナー」が最多で87%、次いで「社会人としての心構え」が83%、「会社の仕組み・ルール」が76%となっている(図表1-1)。この上位3位までの傾向は前回調査(2018年10月実施、以下同じ)と同様となっており、前回比(今回値-前回値[ポイント]、以下同じ)は、「マナー」が3ポイント減、「社会人としての心構え」が6ポイント減、「会社の仕組み・ルール」が2ポイント減となっている。
従業員規模別にみると、「会社の歴史・理念」については、「1001名以上」の大企業において79%と高い割合で研修内容に盛り込まれていることが分かる。従業員規模が大きい企業ほど浸透しづらい「自社の歴史や理念」を、新入社員研修を効果的に活用し、全社員の共通理解として浸透させたい狙いがうかがえる(図表1-2)。
【図表1-1】新入社員研修の内容
【図表1-2】従業員規模別の新入社員研修の内容
職種の特徴に応じて効率的かつ効果的な研修方法を選択
「新入社員研修の実施形態」については、「集合研修」が最多で92%であり、次いで「職場見学・実習」が44%、「課題・レポート提出」が29%となっている(図表2-1)。この傾向は前回調査と同様となっており、前回比は、「集合研修」が3ポイント減、「職場見学・実習」が1ポイント増、「課題・レポート提出」が1ポイント減となっている。
業種別にみると、「メーカー」においては「職場見学・実習」が55%と「非メーカー」より20ポイント高く、一方、「非メーカー」においては「eラーニング・オンライン講座」が20%と「メーカー」より9ポイント高くなっており、業種により実施形態が異なり、職種等の特徴に応じて効率的かつ効果的な研修方法を選択している傾向がうかがえる。
【図表2-1】新入社員研修の実施形態
【図表2-2】業種別 新入社員研修の実施形態
従業員規模が大きいほど長い研修期間
「新入社員研修(集合研修)の実施日数」については、「1週間程度」が最多で25%、次いで「1ヵ月程度」及び「それ以上」がともに19%となっている(図表3-1)。この傾向は前回調査と同様となっており、前回比は、「1週間程度」が4ポイント増、「1ヵ月程度」が2ポイント増、「それ以上」が±0ポイントとなっている。
従業員規模別にみると、「3週間程度」以上実施する割合(「3週間程度」、「1ヵ月程度」及び「それ以上」の合計)は、大企業が最多で63%、「301~1000名」の中堅企業が50%、「300名以下」の中小企業が31%となっており、従業員規模が大きいほど研修期間が長い傾向がうかがえる(図表3-2)。
【図表3-1】新入社員研修(集合研修)の実施日数
【図表3-2】従業員規模別 新入社員研修(集合研修)の実施日数
7割近い企業が新入社員研修の効果を実感
「新入社員研修の効果」については、「まあまあ出ている」が最多で58%、次いで「どちらとも言えない」が29%、「大変出ている」が7%となっている(図表4)。この傾向は前回調査と同様となっており、前回比は、「まあまあ出ている」が2ポイント減、「どちらとも言えない」が2ポイント減、「大変出ている」が1ポイント増となっている。
効果が「出ている」(「大変出ている」及び「まあまあ出ている」の合計)の割合は65%となっており、7割近い企業が新入社員研修の効果を感じていることがうかがえる。
【図表4】新入社員研修の効果
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【調査概要】
アンケート名称:【HR総研】人材育成(階層別研修)に関するアンケート調査
調査主体:HR総研(ProFuture株式会社)
調査期間:2019年8月23日~8月30日
調査方法:WEBアンケート
調査対象:上場及び未上場企業の人事責任者・人材育成ご担当者
有効回答:164件
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