旺盛な企業の採用意欲を背景に、学生の「売り手市場」が続く2018年卒学生の就職活動の状況を2回にわたって報告する。2回目の今回は、セミナーにスポットをあてて、学内企業セミナー、就職情報会社の合同企業セミナー、個別企業のセミナーへの参加状況を紹介する。
調査対象は、楽天「みんなの就職活動日記」会員である。

8割の学生が学内企業セミナーに参加

HR総研:2018年卒学生の就職活動動向調査 結果報告【2】

3月1日から解禁になったのは、就職ナビのプレエントリーや就職情報会社による合同企業セミナーだけではない。キャリアセンター主催の学内企業セミナーも同様に、この日から解禁となる。ホール等で100社以上の企業を集めて大規模な合同企業セミナー形式で行う大学もあれば、時間ごとに教室を割り当てての個別企業セミナーの形式で行う大学もある。いずれにせよ、解禁日から3週間程度経過した段階で、学内企業セミナーに何回参加したかを聞いたデータがこちらである。
文系、理系ともに「0回」は2割程度しかいない。逆に言えば、残り8割の学生は1回は参加しているということになる。理系は1~3回が多くなっているが、文系では「10回以上」という学生が13%もいるなど、学内企業セミナーは積極的に活用されているようである。

[図表1]学内企業セミナー参加回数

学内企業セミナー面談企業へエントリーした学生8割

HR総研:2018年卒学生の就職活動動向調査 結果報告【2】

学内企業セミナーで話を聞いた企業へプレエントリーしたかを聞いたところ、文理ともに8割の学生がすでに「プレエントリーした」と回答しており、まだ「検討中」という学生もいるが、「プレエントリーするつもりはない」と回答した学生は6~7%しかいない。学内企業セミナーで、気になる企業と出会えている学生が大半ということになる。
学内企業セミナーは、自分の大学の学生を採りたいと考えている企業しか参加してこないわけで、学生からすれば学歴フィルターに引っかかることを心配する必要もない。ミスマッチ低減のためにも、学内企業セミナーがさらに活発化することが望まれる。

[図表2]学内企業セミナーでの面談企業にプレエントリーしたか

学内企業セミナーよりも参加率の低いマス型合同企業セミナー

HR総研:2018年卒学生の就職活動動向調査 結果報告【2】

次に就職情報会社が主催するオープンな合同企業セミナーへの参加回数を聞いたのが、こちらのデータである。2月までに開催されていたインターンシップ合同説明会や業界研究セミナーは含まず、あくまでも3月の解禁日以降に開催された合同企業セミナーに限定して聞いたものだ。
「0回」、すなわち1回も参加したことのない学生が、文系で29%、理系に至っては37%もいる。前述した学内企業セミナーの未参加者が2割程度しかいなかったことを考えると、こちらの方が参加率は低いことになる。参加回数を見ても、理系では「1回」が26%で最も多く、文系でも「2回」の19%を山にして、「1回」16%、「3回」15%と、3回以内の学生が5割を占めている。
春季休暇中ということで、開催日は週末に限らず平日にも開催されており、参加機会はあったと思われるが、多回数の参加者は少ない。

[図表3]就職情報会社主催の合同企業セミナー参加回数

合同企業セミナーでも「マイナビ」「リクナビ」の2強対決

HR総研:2018年卒学生の就職活動動向調査 結果報告【2】

参加した合同企業セミナーを主催した就職ナビを聞いたところ、サイトの活用度合いと比例する形で、こちらでも「マイナビ」と「リクナビ」の2強が形成されている。ただし、「リクナビ」は理系に強いイメージがあるものの、理系では58%の「マイナビ」に9ポイントの差をつけられており、逆に文系ではどちらも66%で拮抗する結果になっている。
「キャリタス就活」は、文系26%、理系21%で、いずれも3位につけている。

[図表4]参加した合同企業セミナーの主催就職ナビ

参加者満足度でも「マイナビ」がリード

HR総研:2018年卒学生の就職活動動向調査 結果報告【2】

参加者の多かった3社(3サイト)について、参加者に占める「参加してよかったと思った」学生の割合、すなわち満足度の比較をしたものがこちらである。あくまでも満足した学生の数ではなく、満足した学生の割合での比較である。参加者の少なかったサイトについては、1票の大きさに偏りが出るので、今回の比較からは外させてもらった。
文系、理系ともに、ご覧のように1位「マイナビ」、2位「リクナビ」、3位「キャリタス就活」の順となっている。「マイナビ」は理系学生において70%の学生から評価を得ており、「リクナビ」とは10ポイントもリードしている。理系と言えば「リクナビ」という図式が崩れつつあるようである。

[図表5]参加した合同企業セミナーの満足度

圧倒的に「学内企業セミナー」を重視する学生

HR総研:2018年卒学生の就職活動動向調査 結果報告【2】

これまで見てきたように、セミナーへの参加率を見ても学内企業セミナーのほうが高かったわけであるが、あえてどちらのセミナーを重視するかを聞いてみた。結果、文系の49%、理系の55%が「学内合同企業セミナー」を重視すると回答している。理系では「就職情報会社主催の合同企業セミナー」と回答した学生は11%しかなく、「学内合同企業セミナー」とは44ポイントもの開きがある。理系学生のほうが文系学生よりも「学内合同企業セミナー」重視の傾向は、毎年変わらない。理系学生を採用したい企業は、これまで以上に学内企業セミナーに参加できるよう、キャリアセンターへの働き方が重要になってくる。

[図表6]重視する合同企業セミナーはどっち?

すでに大半の学生が個別の企業セミナーにも参加済み

HR総研:2018年卒学生の就職活動動向調査 結果報告【2】

かつて「採用広報解禁:12月、選考解禁:4月」だった頃は、12月~1月は合同企業セミナーや学内企業セミナーに参加して、2月から個別企業セミナーに参加するといった学生が多かった。逆にいえば、企業がそのような、「母集団形成期」「個別セミナー開催期」「面接選考期」とタイムスケジュールを組んでいたということでもある。それが、「採用広報解禁:3月、選考解禁:6月」と採用広報期間が短くなったことで、企業の個別セミナーの開催も前倒しとなってきた。合同企業セミナーや学内企業セミナーで母集団を集める活動と並行して、個別企業セミナーも開催せざるをえなくなっている。
学生の個別企業セミナー参加社数を見てみると、「0社」と回答した学生は、文系で5%、理系で7%しかいない。理系では「1~3社」が35%で最も多く、文系では「7社以上」の学生が43%にも達するなど、文系の活動量のほうがペースは速い。
なお、個別企業セミナーについては、3月以前の活動も含めての社数となっている。

[図表7]個別企業セミナー参加社数

すでに半数の学生が面接を経験済み

HR総研:2018年卒学生の就職活動動向調査 結果報告【2】

すでに面接した企業数を聞いてみたところ、まだ面接を1社も受けていない学生は、文系で49%、理系で47%にとどまった。すでに過半数の学生が面接を受けている。個別企業セミナーへの参加社数では、活動量の点で文系よりもやや遅れていた理系であるが、面接社数ではそれほどの開きはない。文系は「4~6社」という学生が理系よりも4ポイント高いものの、「7社以上」では理系のほうがわずかながら高くなっている。

[図表8]面接社数

すでに内定取得学生が理系では17%

HR総研:2018年卒学生の就職活動動向調査 結果報告【2】

最後に、内定取得状況を確認してみた。もちろんこの調査を実施した3月下旬現在では「0社」の学生がほとんとで、文系で87%、理系でも83%に上る。ただ、逆に見れば、文系の13%、理系の17%はすでに内定を取得している。文系の4%、理系の7%は、この段階ですでに2社以上からの内定を得ている。企業の採用意欲は高止まりを続けており、企業の採用活動のペースは、昨年よりも早まっている。

[図表9]内定社数

【調査概要】

調査主体:HR総研(ProFuture株式会社)
調査協力:楽天「みんなの就職活動日記」
調査対象:2018年卒の大学生・大学院生
調査方法:webアンケート
調査期間:2017年3月21日~3月29日
有効回答:1,026名(文系:661名,理系:365名)

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