HR総研では、2015年8月21日~8月27日に楽天「みんなの就職活動日記」会員の就活学生に対して「2016年度就職活動動向調査」を企画・実施した。

「採用選考に関する指針」によって採用活動時期の変更を求められた2016年卒採用。大手企業よりも中堅・中小企業の選考が早まったことにより、学生側の解禁1カ月後の状況が昨年とどう変わったをレポートする。

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大学間格差が大きく縮小した内定率

2016年卒採用の特徴は、これまでも紹介しているように、一つにはインターンシップ、中でも1Dayインターンシップの増加による学生との早期接触。そして、もう一つは、大手企業の選考開始が8月1日になったことにより、従来、大手企業の選考が落ち着いてから選考を本格化させていた中堅・中小企業が、大手企業よりも先に選考活動を実施するという「選考時期の逆転現象」が起こったことである。
 その結果、選考解禁日である今年の8月1日と昨年の4月1日を比較してみると、解禁日時点の内定率は大きく異なることになった。リクルートキャリア調査によると、今年8月1日時点の内定率が64.4%なのに対して、昨年の4月1日時点ではわずか18.5%。今年は45.9ポイントも高くなっている。昨年までは、他の企業からの内々定を持たないまま、大手企業の選考に臨んでいた学生が多かったわけだが、今年は中堅・中小企業等の内々定をもらった上で、大手企業の選考に臨むことができた。いわば「すべり止め」をしっかり持った上で、本命に挑戦したということだ。
 今回実施した調査と、昨年4月下旬に実施した調査を比較すると、面白い違いが現れた。どちらも解禁後1カ月弱経過した時点での調査だが、リクルートキャリア調査と同様な結果が見られただけでなく、さらに大学グループに分解してみたのが[図表1](今年8月調査)と[図表2](昨年4月調査)である。

[図表1]解禁後1カ月弱経過した時点での内定社数(2016卒/2015年8月調査)

「2016年卒新卒採用 8月調査」結果速報【2】

[図表1]と[図表2]と比べてみると、内定社数「0社」の学生が[図表1]では極めて少ないことがわかる。これは内定率の高さを表しているわけだが、もう一つの違いは、大学グループごとの差だ。[図表1]では大学グループごとの差がほとんどないのに対して、[図表2]では大学グループによって内定社数「0社」の学生割合が大きく異なっている。最も少ない「早慶クラス」の18%に対して、最も多い「その他私立大学」では59%と40ポイント以上の開きがある。昨年の4月末時点では、大手企業の内定は出ているのに対して、中堅・中小の内定出しが本格化していないために、このような差が出ていたわけである。それに対して、解禁1カ月経過時点での「内定率」という観点では、今年は大学間格差がほとんどなくなったといえる。

[図表2]【比較】解禁後1カ月弱経過した時点での内定社数(2015卒/2014年4月調査)

「2016年卒新卒採用 8月調査」結果速報【2】

内定先企業規模では、大学グループによる差異が継続

内定率では、大学グループによる差がほとんどなくなったわけだが、内定先企業は大学グループによって、はっきりと違いが現れている。内定保有者に対して、内定先企業の従業員規模をすべて選択してもらって集計したものが[図表3](今年8月調査)と[図表4](昨年4月調査)だ。

[図表3]内定先企業の従業員規模(2016年卒/2015年8月調査)

「2016年卒新卒採用 8月調査」結果速報【2】

[図表3]と[図表4]では、いずれも偏差値の高い大学グループほど、大手企業からの内定割合が高くなっている。こちらのデータは、仮に1人の学生が「5001名以上」の企業3社から内定を得ていたとしても、学生は「5001名以上」の選択肢を1回しか選択できない。逆もしかりだ。従って、実際に学生が内定を得たすべての企業割合で見た場合には、もっと極端な差がついているはずだ。
もう少し[図表3]と[図表4]を比べてみよう。全体的な傾向値は同じだが、[図表3]では、「旧帝大クラス」をはじめとする上位校における「中小企業」比率が高まるとともに、「その他私立大学」では「大企業」の比率が高まっている。上位校の学生においても、8月の大手企業の選考開始前に中小企業を受験した学生が昨年以上に多かったことが伺える。中小企業からすれば、例年であれば応募してこなかった層が、大手企業の選考開始前に応募してきており、選考段階ではどうしても彼らに目が行ってしまったことだろう。彼らに出された内定は、大手企業による内定出しの後は、内定辞退という形で返ってくることになる。
逆に、大手企業側は「売り手市場」を背景に、例年よりも採用基準を緩和し、採用校の範囲を広げている例も少なくないと思われる。

[図表4]【比較】内定先企業の従業員規模(2015年卒/2014年4月調査)

「2016年卒新卒採用 8月調査」結果速報【2】

就活を続ける学生はわずか2割強

内定を取得している学生に対して、これからも就職活動をまだ続けるのかどうかを聞いたのが[図表5]だ。最も多い回答が「第1志望の企業に内定したので終了する」で、「その他私立大学」ではやや低いものの、その他の大学グループではどこも5~6割に達する。「第1志望の企業ではなかったが内定したので終了する」という学生も2割前後となっており、「早慶クラス」の80%を筆頭に、「(就職活動を)終了する」という学生が6~8割近くにもなる。マイナビ調査では、6月末の段階では内定率が44%に対して、「就職活動を終了する」とした学生はわずか13%であったことを考えると、7月・8月の2カ月間で大きく状況は変わったということになる。

[図表5]今後の就職活動の継続意向

「2016年卒新卒採用 8月調査」結果速報【2】

【調査概要】

調査主体:HR総研(ProFuture株式会社)
調査対象:楽天『みんなの就職活動日記』会員の就活学生
調査方法:webアンケート
調査期間:2015年8月21日~8月27日
有効回答:1261名

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