2回目の今回は「大学へのアプローチ」と不特定多数に向けた「自社ホームページ」がテーマ。
2016年新卒採用の「より重要な施策」は「学内企業セミナー」「自社セミナー・説明会」
「2016年新卒採用でより重要になると思われる施策」については、2013年12月にも同様の設問で調査している。
今回の調査で回答率が10%以上の施策については、すべて「2013年12月」の調査時より回答率を増す結果となった。
なお、今回の調査で最多の回答率を占めた施策は「学内企業セミナー」(63%)であり、回答率は2013年12月(40%)よりも23ポイントアップした。前回調査でトップだった「自社セミナー・説明会」(前回42%)も20ポイントアップの62%で、よりリアルなコミュニケーションが重視されていることが伺える。
[図表1]2016年度採用でより重要となる施策
学内セミナー参加校は「増加傾向」
学内セミナーに参加する予定の学校数については前年度と「変わらない」とする企業が42%と大半を占めるものの、「増やす」と回答した企業は34%、「減らす」と回答した企業は2%であり、全体的には増加傾向となった。企業規模別に見てみると、「1001名以上」「301~1000名」の企業での回答比率は大きく変わらないが、「300名以下」の企業では「増やす」企業は26%と比較的少なく、30%の企業は「参加しない」と回答している。
なお、学内セミナーに参加する学校数については約半数(49%)が「1~10校」と回答している。
[図表2] 学内セミナーに参加する大学数の前年比較
8割の企業が求人票を活用
学内セミナー以外の大学へのアプローチについても触れておこう。
求人票の提出予定について聞いたところ、こちらも「前年同程度」との回答が53%と過半数を占めるものの、「前年以上」の大学に提出する企業が19%と、「前年より絞った」大学に提出する企業(3%)を大きく上回ることが分かった。求人票を「提出しない」とする企業は20%にとどまる。
「メーカー」「非メーカー」の提出予定の比較においても、大きな差異は見られない。
[図表3]求人票の提出予定
求人票を提出する学校数は、全体としては「50校以下」が半数以上を占める(「1~20校」26%、「21~50校」27%)。
「メーカー」「非メーカー」を比較してみると、「非メーカー」では「51校以上」が47%に及ぶなど、「非メーカー」のほうが、多くの大学にアプローチしている傾向にあることが分かった。
[図表4]求人票の提出学校数
推薦確保に向けて理系研究室訪問を強化
次に、理系研究室の訪問状況について見てみよう。
「メーカー」では約半数(51%)の企業が「実施した(する予定)」と回答している。今年から新たに実施する企業も11%に上った。理系採用に苦戦する中で、推薦による応募者確保に向けた動きが強まっている。
[図表5]理系研究室訪問の実施状況
理系研究室訪問は半数の企業が12月までに実施
なお、研究室訪問は、2016年度採用・2015年度採用ともに、半数の企業が12月までにスタートをしている。年内における実施に注目すると、2015年度は12月の採用活動解禁を意識してか12月に開始とした企業が多かったが、2016年度は開始時期が各月に分散していることが分かった。
一方で開始時期を「3月以降」とする企業も15%あり、2015年度(12%)より微増している。
[図表6]研究室訪問の実施時期
理系学生の選考期間短縮化を狙う大手企業
理系学生の応募経路について尋ねたところ、全体では「昨年と変わらない」(47%)、「こだわらない」(23%)が高いものの、「推薦比率を高めたい」(16%)とする企業が、「自由応募比率を高めたい」(11%)を若干上回った。2015年卒採用において内定辞退率が高まったことを受け、推薦による内定辞退率の低減をはかりたいという狙いと、新スケジュール順守を予定する大手企業においては選考期間の短縮化を進める上で、必要に迫られて推薦採用枠の拡大を狙っているものと推測される。企業規模別に傾向を見ると、規模が大きい企業ほど「推薦比率を高めたい」と回答している比率が高い。
新スケジュールを意識しつつも、新スケジュール下では研究と就職活動を同時期に実施することを迫られる理系学生への有効なアプローチに各社頭を悩ませていることが伺える。
[図表7]理系学生採用の応募経路について
採用ホームページ開設ピークは「2015年3月」。先行する特定対象への個別アプローチ。
2014年8月に実施した「2015年&2016年新卒採用に関する調査」では、47%の企業が「2014年12月までに採用HPをオープンする(予定)」と回答していたが、今回の調査では予想に反し、2014年12月までにオープンする企業は18%に留まり、最多回答は「2015年3月」(27%)となった。
2015年3月の解禁日以前は「不特定多数向けの情報発信以外の広報活動を自粛する」とされながら、採用ホームページのように「不特定多数向け」の情報発信は禁止されていないことを前提に、早期に対応する企業が増加する可能性が高いと想定されていた。しかしながら、インターンシップを通じた個別のアプローチ活動が先にスタートし、「不特定多数向け」の情報発信の優先順位は下がっているのが現状のようだ。とはいえ、大手企業だけを見てみると、採用広報解禁前の2015年2月までに54%と過半数の企業が開設するとしている。
[図表8]2016年度新卒採用ホームページ開設時期
大手企業の半数以上はスマホ対応の必要性を認識
就活学生調査では、スマートフォン利用率は95%を超えるという結果が出ており(※)スマートフォン用のホームページのニーズは高そうでありながら、スマートフォン向けの採用ホームページを半数以上(59%)の企業が「立ち上げるつもりはない」と回答している。
企業規模別に見てみると、「1001名以上」の企業では、「立ち上げた」「立ち上げ中」「立ち上げることを検討中」の合計が54%と半数を超えるが、「1000名以下」の企業では、その比率は大きく減少する。限られたリソースの中、新スケジュール下での採用成功を目指す中で、中堅ろ中小企業では優先順位の高い施策ではないことが分かった。ただし、iPhoneがFLASHに対応していないことを考えると、少なくともFLASHを使わないホームページづくりをするなどの配慮は必要であろう。
※(参照:「2016年卒学生の就職意識調査」結果報告【2】)
[図表9]スマートフォン向け採用ホームページへの対応
【調査概要】
調査主体:HR総研(HRプロ株式会社)
調査対象:上場および未上場企業の2016年度新卒採用担当者
調査方法:webアンケート
調査期間:2014年12月15日~12月25日
有効回答:251社(1001名以上:56社、301~1000名:81社、300名以下:114社)
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