リファラル採用は人材確保などの採用面だけでなく、 会社全体のパフォーマンスにも良い影響を及ぼすことが明らかに!

株式会社MyRefer(本社:東京都中央区、代表取締役社長 CEO:鈴木貴史)は、同社が運営する「リファラル採用研究所」にて、株式会社ビジネスリサーチラボ 代表取締役 伊達洋駆氏と「日本の人材市場におけるリファラル採用に関する共同研究」を1,532名の協力のもと実施いたしました。
(参照URL:https://i-myrefer.jp/corp/download/191/input)

■研究結果概要
1.紹介行動がもたらす効果
(1)「紹介したいと思うこと」と「実際に紹介したこと」が組織市民行動につながり、組織パフォーマンスが向上し得る
(2)会社への帰属意識が「紹介意思」を促進し、「紹介した友人の入社」が愛着を向上させる
2.紹介行動をとる要因
(1)「求職者を助けたい気持ち」と「会社への帰属意識」が紹介意思を促進し、紹介行動につながる
(2)「リファラル採用で入社した人を見た」ことが紹介行動につながる


■1.紹介行動がもたらす効果
(1)「紹介したいと思うこと」と「実際に紹介したこと」が組織市民行動につながり、組織パフォーマンスが向上し得る
<結果>
・リファラル採用が認知されている職場※1において「紹介意思」と「組織市民行動」は中程度の相関がある
・「紹介した人」は「紹介していない人」よりも組織市民行動が高い(共分散分析で有意な平均値差)
<解説>
「組織市民行動」とは、会社のためになる自発的な役割外行動を指します。組織市民行動を行うほど離職しにくく、組織市民行動を行う人が多ければ会社が円滑にまわり、パフォーマンスが高まると検証※2されています。今回、紹介意思や紹介実施が組織市民行動に影響を与えることが分かりました。そのため、会社として紹介行動をとる従業員を増やせば、組織市民行動をとる従業員を増やすことにもなり、会社のパフォーマンスを高めることにもつながり得ます。リファラル採用に力を入れることは、採用の成果は勿論、会社の成果にも影響することが示唆されます。
※1:リファラル採用制度のある企業のうち、「周りにリファラル採用で入社した人がいる」ことが4(当てはまる)以上のサンプルに絞る。
※2:参考文献:Podsakoff, N. P., Whiting, S. W., Podsakoff, P. M., & Blume, B. D. (2009). Individual-and organizational-level consequences of organizational citizenship behaviors: A meta-analysis. Journal of applied Psychology, 94(1), 122-141.

(2)会社への帰属意識が「紹介意思」を促進し、「紹介した友人の入社」が愛着を向上させる
<結果>
・「会社への帰属意識」が「紹介意思」に影響を与える(重回帰分析にて有意な関連)
・「紹介して友人が入社した人」は「紹介したが入社していない人」よりも愛着が向上する(共分散分析で有意な平均値差)
<解説>
会社への帰属意識の高い人が「知人・友人に自社を紹介したい」と思っており、紹介実施につながります。紹介した友人が入社すると、その後の会社への愛着が高まると分かりました。つまり、愛着を持っている人をリファラル採用活動に巻き込むことで、ポジティブなスパイラルがまわります。そのため、リファラル採用活動データを可視化して社員のファン度合いを見ることや、サーベイを実施して隠れファンを探すことが第一手となります。ファン社員を巻き込んでリファラル採用を推進していくと、さらに愛着が高まり、組織のエンゲージメント向上にも寄与することでしょう。

■2.紹介行動をとる要因
(1)「求職者を助けたい気持ち」と「会社への帰属意識」が紹介意思を促進し、紹介行動につながる
<結果>
・「求職者を助けたい気持ち」と「会社への帰属意識」が「紹介意思」に影響を与える(重回帰分析にて有意な関連)
・「紹介意思」が「紹介実施」に影響を与える(重回帰分析にて有意な関連)
<解説>
「求職者を助けたい気持ち」と「会社への帰属意識」が紹介意思を高め、それが紹介実施につながっています。また、実際に「求職中の知人数」が何人いるかどうかも影響を持っています。まずは着実に紹介意思を醸成し、その上で知人・友人との連絡を継続的に取るように促しましょう。

(2)「リファラル採用で入社した人を見た」ことが紹介行動につながる
<結果>
・「リファラル採用で入社した人を見た」ことが「紹介実施」に影響を与える(重回帰分析にて有意な関連)
<解説>
「リファラル採用で入社した人を見た」ことも紹介実施に大きな影響を与えると分かりました。紹介意思の有無とは別で、周りにリファラル採用で入社した人がいる「身近さ」や「受け入れ体制」が紹介実施を促していると考えられます。ただリファラル採用を促すだけではなく、実際に紹介で入社した人の従業員体験をデザインし、立ち上がりや活躍をフォローしていくことが次の紹介につながります。会社に愛着を持っている人に協力してもらい成功事例を作り、リファラル採用で入社した人の事例を社内広報していくことが有効でしょう。

■共同研究結果概要
・調査期間:2021年9月2日~30日
・調査対象:リファラル採用制度を活用する企業の従業員
・有効回答数:1,532名
・調査方法:インターネット調査/MyRefer活動ログ解析
・調査主体:リファラル採用研究所

コメント

■採用学研究所/株式会社ビジネスリサーチラボ 伊達洋駆氏コメント
今回の共同研究は、2つの意味で特色があります。一つは、リファラル採用に関する学術研究の知見に基づいて実施された調査である点です。海外で発見された知見が日本において当てはまるのかを検討しました。もう一つは、日本企業の従業員を対象とした本格的な調査である点です。ここまで丁寧なステップを踏んで設計されたリファラル採用の実態調査は稀有でしょう。また、共同研究の結果、明らかになった事実も興味深いものばかりです。例えば、会社への愛着が紹介行動を呼び、被紹介者が入社すると愛着が向上するというポジティブスパイラルは、リファラル採用の推進によって組織開発も促される余地があることを表しています。紹介行動と組織市民行動の関連は、リファラル採用の取り組みが会社全体に影響を与えることを示唆しています。今回の共同研究を皮切りに、リファラル採用の可能性がさらに明らかになっていくことを願っています。

■リファラル採用研究所 所長/株式会社MyRefer 代表取締役社長CEO 鈴木貴史コメント
 今回の共同研究により、紹介理由は「求職者を助けたい気持ち」が最も大きく、そして「リファラル採用で入社した人を見た」ことが紹介行動につながっていると分かりました。このように従業員が知人・友人を助けたいと思っていることをふまえると、リファラル採用で入社する人の体験価値を高めることが重要です。新入社員が入社した際に働きやすい環境を作ることに加え、紹介した従業員と被紹介者のお互いが喜びを分かち合いながら職場に溶け込めるような取り組みが効果的でしょう。
 また、採用面のみでなく、リファラル採用の組織への波及効果が明らかになりました。紹介行動を取る従業員を増やすと、組織市民行動が生まれて組織パフォーマンスが高まります。短期的な採用に限らず、中長期的な組織開発の観点で、リファラル採用を通じて強い組織づくりを行っていきましょう。
【日本の人材市場におけるリファラル採用に関する共同研究】