「社外取締役」とは、社内から昇格した取締役とは異なり、取引や資本関係のない社外から迎える取締役のこと。
その会社の業務執行に従事せず、社内の利害関係にとらわれない社外取締役に期待されるのは、株主の視点を持って経営を監視し、外部の目によるチェックで経営の透明性を高めたり企業統治を強化したり、といった役割。常に投資家の目にさらされながら経営を行うことが浸透している欧米では、社外取締役の設置は当たり前のこととされ、アメリカでは取締役の半分以上が社外取締役だといわれます。
日本では社外取締役制度の導入が遅れていましたが、2002年の商法改正で導入され、2014年には大企業に社外取締役の選任を強く促す改正会社法が成立。社外取締役を置かない場合は株主総会で理由を説明することが義務化されました。また、社外取締役を選任する企業が増加する大きなきっかけとなったのが、金融庁と東京証券取引所が取りまとめ、2015年6月から適用を開始したコーポレートガバナンス・コード。中長期の企業価値向上を目指し、上場企業が守るべき行動規範を示した企業統治の指針であり、選任すべき社外取締役は最低2名、グローバルに事業を展開する大企業については3分の1が望ましいとされています。
日本取締役協会が2016年8月に実施した上場企業のコーポレートガバナンス調査によれば、東証1部上場企業のうち社外取締役選任企業は98.9%。3人以上の社外取締役を選任する企業は35.7%(2015 年調査では21.2%)、取締役会に占める比率が3分の1の企業は30.1%(2015 年調査では18.9%)に及んでおり、社外取締役が増えている状況がうかがえます。とはいえ、社外取締役を導入したものの、なかなか期待通りに機能していない企業も少なくはないようです。今後は、社外取締役への迅速な情報提供など、社外取締役の選任を企業価値の向上につなげる取り組みも求められてくるでしょう。