「ワークライフバランス」とは、仕事と家庭が両立しやすい環境づくりのことで、「仕事と家庭の調和」と訳されています。

2007年、関係閣僚、経済界・労働界・地方公共団体の合意により、「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」・「仕事と生活の調和推進のための行動指針」が策定され、ワークライフバランスの実現に向け官民一体となって取り組み始めました。内閣府の男女共同参画局での定義としては、「老若男女誰もが、仕事、家庭生活、地域生活、個人の自己啓発など、様々な活動について、自ら希望するバランスで展開できる状態である。」としています。

ワークライフバランスが提唱される背景としては、加速する少子高齢化、団塊世代の大量退職、続く不況による低所得問題など、一人の働き手が長時間労働をしなければならない状況が続き、身体的問題だけではなく、メンタル面においても不調が続いてしまう労働者が増え、社会問題となりました。

「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」によると、目指すべき社会の姿として、「国民一人ひとりがやりがいや充実感を感じながら働き、仕事上の責任を果たすとともに、家庭や地域生活などにおいても、子育て期、中高年期といった人生の各段階に応じて多様な生き方が選択・実現できる社会」を掲げ、具体的には、(1)就労による経済的自立が可能な社会(2)健康で豊かな生活のための時間が確保できる社会(3)多様な働き方・生き方が選択できる社会という3つの目指すべき社会を提唱しています。

仕事と生活の調和連携推進・評価部会の「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)レポート2012によると、25歳から44歳女性の就業率は、66.8%(2011年)、保育等の子育てサービス提供割合25.3%(2012)、男性の育児休業取得率2.63%(2011)と、少しずつ改善されているものの、社会全体の成果としてはまだまだ認知が必要といわれています。

ワークライフバランスが生まれたのは1980年代のアメリカと言われています。女性が活躍する場所が増え、子育てとの両立が問題になりました。そこで企業側が支援策を打ち出したのが始まりとされています。このワークライフバランスは、企業経営上のメリットという観点から企業主導で、取組みが進められてきたアメリカ型と、公共政策として国・地方自治体が中心となってワーク・ライフ・バランスのためのサービスに取り組んでいるヨーロッパ型に分けられていて、日本では、ヨーロッパ型をベースに、企業ではアメリカ型の経営戦略としても使われています。

ワークライフバランスとは、政府や地方自治体も積極的に取り組んでることから、社会貢献のみならず、最近では、効果的な経営戦略として注目されています。そのメリットとしては、女性の離職防止による採用・教育コストの抑制、企業風土の活性化、短時間労働によるスキルアップ、生産性の向上によるロイヤリティの向上、グローバル化に対応したダイバーシティの実現とさまざま挙げられます。