テクノ失業とは、人口知能やロボット、インターネットの発達・普及により、これまで人間が行ってきた仕事が、それらに置き換えられることで発生する失業のことです。

野村総研が2015年に発表したレポートによると、今後10~20年の間に、日本の労働人口の49%が、今就いている職業を人工知能やロボットなどに置き換えられる可能性が高いとのことです。

このレポートでは、人工知能などに代替できる可能性が高いのは「必ずしも特別の知識・スキルが求められない職業に加え、データの分析や秩序的・体系的操作が求められる職業」とした上で、「芸術、歴史学・考古学、哲学・神学など抽象的な概念を整理・創出するための知識が要求される職業、他者との協調や、他者の理解、説得、ネゴシエーション、サービス志向性が求められる職業は、人工知能等での代替は難しい傾向がある」としています。

最近、無人レジの実証実験が行われ、注目を集めました。これは商品の電子タグを読み取って高速決済できるというもので、メーカーが出荷してから消費者が購入するまでをリアルタイムで把握することも可能になるとのことです。このようなものが普及すれば、確かに、今レジを担当している人は失業するかも知れません。

また、先の野村総研のレポートでは、人口知能で代替が難しいとされている「芸術」についても、触れられています。2016年に、人工知能が書いた小説が“星新一賞”の一次審査を通過して話題になりましたが、もしかしたら、AI作家が誕生する日も近いのかも知れません。

そもそもテクノロジーは人間を幸福にするためにあるはずですが、それが失業を拡大させるとしたら──、非常に複雑な気持ちにさせられるワードと言えるでしょう。