つながらない権利とは、勤務時間外や休日に、仕事上のメールや電話への対応を拒否する権利のことです。

2016年にフランスで労働法が改正された際に盛り込まれ、世界的に話題になりました。この改正において、従業員50人以上の企業では、従業員は勤務時間外のメールなどを遮断する権利を有することを定款に明記することを義務付けました。

携帯電話やインターネットの発達はワークスタイルを大きく変えました。いつでもどこでも仕事ができるようになり、報告のためにわざわざ帰社しなくてもメールで済ませることができるなど、従業員にとってメリットが数多くあります。

しかしその一方で、帰宅途中でメールが入り、その対応のために会社に戻らなくてはならなくなったり、休日に得意先から呼び出されたりなど、労働強化(仕事量を増やすこと)につながるケースも増えているようです。

日本でも、勤務時間外のメールへの対応が従業員の負担になるとして、禁止する企業が出始めました。ジョンソン・エンド・ジョンソンは、午後10時以降と休日の社内メールのやり取りを禁止にしました。また三菱ふそうトラック・バスは、長期休暇中に電子メールを受信拒否・自動削除できるシステムを導入しました。

日本では、つながらない権利の法制化はされていません。しかし勤務時間外にメールや電話に対応することは、当然、時間外労働となりますし、企業には残業手当の支払い義務が生じます。従業員にそういった対応をさせるのであれば、そもそもの前提として、36協定を締結しておく必要があります。