事業承継とは、会社の事業を後継者に引き継ぐことです。
事業承継は、しばしば“事業継承”と記載されることがありますが、そもそも承継とは、地位・事業・精神を受け継ぐことで、継承とは、身分、権利、義務、財産などを受け継ぐこと。“事業継承”では、意味が若干違ってしまうので注意が必要です。
近年、中小企業では経営者が高齢化して、事業承継をしてもよい時期が来ているにもかかわらず、多くの企業で事業承継が進んでいません。その理由の1つは、後継者の不在です。
帝国データバンク発表の『2016年社長分析』によると、社長の平均年齢は59.2 歳と過去最高を更新する一方、国内企業の3分の2にあたる66.1%が、後継者不在とのこと。少子化の影響で子供がいなかったり、いても事業に関心を示さなかったりなどの理由からこのような事態になっているようです。そのため現在、M&Aなどにより、親族以外の第三者に「事業譲渡」する例も増えています。
また、中小企業庁の「2014年版中小企業白書」によると、事業承継が円滑に進まなかった理由として「将来の業績低迷が予測され、事業承継に消極的」と答えた企業が55.9%と最も多く、事業承継そのものを考えていない経営者もかなりいるようです。
中小企業は日本経済を支える大きな存在です。もし、事業承継がうまくいかず廃業する企業が続出したら、社会に大きな影響が出ることが考えられます。そこで行政では、事業承継に関する相談窓口を設けたり、金融支援を行ったりなどのサポート事業を展開しています。
後継者の育成には、長い時間がかかります。今のところ事業承継の問題はないという企業であっても、将来に向けて計画的な後継者育成を考える必要があるでしょう。