ガクチカとは「学生時代に力を入れたこと」を略した若者言葉であり、就活用語です。合同企業説明会を略した「ゴウセツ」と並んで、学生の間ですっかり定着している言葉です。
このような言葉が生まれたのは「学生時代に力を入れたこと」が、面接で必ずといっていいほど訊かれる質問だからです。エントリーシートでも、ほとんどの企業が質問項目の1つに入れていると思われます。
言うまでもなく、この質問は、学生をより深く知るためのものです。何に力を入れてきたかを訊くことで、その学生の趣味嗜好、価値観が分かります。さらに、具体的にどのような取り組みをしたのか、結果、それで何を学んだのかなど、話を広げていけば、学生の性格を知るためのさまざまな手がかりを得ることができます。
ところが近年では、この質問があまりに定番となったため、あらかじめ企業受けするガクチカを、意図的に作っておく学生が増えているようです。たとえば、自分から進んでということではなく、就職に有利だと考えて、被災地でボランティア活動をした、といった学生です。
その一方で、一昔前には考えられなかったようなことに力を入れる学生もいます。最近、特に優秀と思われる学生は別枠で採用し、通常より高い初任給を提示する企業が、IT業界を中心に出始めました。そういう企業が応募の条件として示すのが、起業経験です。もちろん、学生の起業例は昔からありましたが、多くはありませんでした。ところが、最近は応募条件としてあげることができるほど増えているようなのです。
IT業界ならではといえるかも知れませんが、何らかのサイトを作って運営をしている、アプリを開発したことがある、などを条件にする企業も見られます。学生にとっては趣味の延長線上でサイトやアプリを作ったのかも知れませんが、そのまま有料化できるような高いレベルのものを作っている学生が少なからずいるようです。
ともあれ、ガクチカは、やはり採用には欠かせない質問です。しかしその中身の見極めには、これまで以上に人事担当者のスキルが必要になってきます。