
このことから、彼らは実直さや粘り強さよりも、仕事の成果につながるものを着実に身につけたいと望んでいるようだ。「働き方改革」によるここ数年の働き方の変動に加え、子どもの頃からインターネットが身近にあり、ほしい情報がすぐ手に入る状況だったことなどが背景にあると考えられる。
ビジネスの基本であるマナーについて、やや関心が下がっているように受け取れるのは、企業側としては気になるところだろう。上司が「さまざまなステークホルダーと仕事を進める上でマナーが必要である」、「マナーあっての関係性構築であり、それがチャンスとなって生産性の高い仕事につながりやすい」など、新入社員が納得できるような説明をすることで、彼らの取り組む姿勢にも変化が出てくると期待できる。

新入社員はやりたい仕事がすぐにできない場合も多いだろうが、中長期的に見て現在の仕事がやりたい仕事につながっていく道筋や、目の前の仕事の積み重ねが将来のキャリアにとってプラスになることなどを、上司が伝えていくことが大切だ。

このことから、おそらく1位の「お互いに助け合う」も、調査開始当時とはニュアンスが違っていると思われる。以前は「一丸となってひとつの目標を目指し、集団の中で助け合うこと」を指していたのに対し、今回は「お互いの個性や特徴を認め、尊重し活かしながら助け合うこと」をイメージしていると想定される。
企業側は、1人ひとりの意見を聞きながら共に目指すべきものを見出す、といった “個人が大事にしていること”につなげて物事を進める工夫が必要だろう。

これらを踏まえると、新入社員が上司に期待するのは「メンバー1人ひとりの声を聞き、良い点をしっかりキャッチし個別指導できる人物像」だと考えられる。
