あしたのチームは2018年10月、中小企業の経営者および従業員を対象に「女性の働き方に関する調査」を行い、その結果を発表した。有効回答数は300名で、内訳は会社経営者と女性社員それぞれ150名ずつ。
6割が出産・育児休職後の職場復帰以降も管理職志向は1割に留まる。中小企業の女性の働き方に関する調査より

経営者に『女性社員の活躍を支援したいと思いますか?』と質問したところ、96.0%が「そう思う」と答えた。「そう思わない」と回答したのはわずかに4.0%であった。

続けて経営者に女性社員の活躍を支援するために『現在実施していること』と『今後実施したいこと』をそれぞれ選択肢から当てはまるものを全て選んでもらった。

『現在実施していること』(上位3項目まで記載)

1:産休・育休制度(78.0%)
2:短時間勤務制度(47.3%)
3:子どもの病気時などの看護休暇制度(42.7%)

『今後実施したいこと』(上位3項目まで記載)

1:産休・育休制度(29.3%)
2:子どもの病気時などの看護休暇制度(28.0%)
3:フレックスタイム制度(22.0%)
3:女性管理職の積極登用(22.0%)

『現在実施していること』を見ると、結婚・出産・育児などで一時的に職場を離れた社員に戻って活躍してもらうための支援を行っている会社が多いことが分かる。
また、『現在実施していること』では、子どもに関する制度について、今後実施したいと考える経営者が多いことが分かる。また、「フレックスタイム制度」や「短時間勤務制度」(19.3%で5番目)、「テレワーク・在宅ワーク制度」(17.3%で8番目)などのように、働く“時間”に関する制度をいろいろな形で整えたいという意向が強いようだ。

さらには、「女性管理職の積極登用」も2割以上あり、女性社員に管理職としての活躍を期待する声があがっている。

全員(経営者と女性社員)に『あなたの会社に結婚・出産・育児を経て職場復帰した女性社員はいますか?』と質問したところ、「いる」が66.3%、「いない」は29.7%、「自分が結婚・出産・育児を経て復帰した」は4.0%であった。「いる」、「自分が結婚・出産・育児を経て復職した」を合わせると70.3%となり、実に7割以上が「いる」と回答した。

続けて全員に『あなたの会社には女性管理職がいますか?』と聞いている。61.7%が「いる」と回答し、中小企業で女性管理職がいる割合は6割以上であることが明らかになった。なお、「いない」は37.3%、「分からない」は1.0%であった。また、『あなたの会社の女性管理職のおよその割合をお答えください?』と聞くと、平均で7.05%となった。つまり、女性管理職がいる企業は6割以上を超えるものの、人数としては1割未満と少ないことが分かった。

ここからは女性社員に聞いている。最初の質問は『あなたは将来どのような働き方をしたいと思いますか』。複数回答で選んでもらった結果は次の通り。

・無理のない範囲で自由に働いていきたい(61.3%)
・給与をどんどん上げていきたい(41.3%)
・結婚・出産をしたら昇進や昇給よりも家庭を優先して働きたい(31.3%)
・上位の役職へ上り詰めていきたい(13.3%)
・結婚・出産をしても責任のある仕事を任されたい(12.0%)
・結婚・出産をしても上位の役職に就きたい(10.0%)

トップ3は上記の通りで、4番目の「上位の役職へ上り詰めていきたい」(13.3%)、5番目の「結婚・出産をしても責任のある仕事を任されたい」(12.0%)、6番目「結婚・出産をしても上位の役職に就きたい」(10.0%)といった項目は、いずれも1割強に留まる結果となった。

『あなたが今後、結婚・出産・育児等で休業したとして、現在の職場に復帰したいと思いますか』(単一回答)との問いには、57.2%が「そう思う」と回答。半数以上が、結婚・出産・育児により退職や転職をせず、現在の職場に戻りたいと考えていることが分かった。なお、「そう思わない」は23.2%、「結婚・育児・出産をする予定はない」が19.6%であった。

女性社員かつ、非管理職の140名が将来管理職を目指しているのか『あなたは将来管理職になりたいと思いますか。あなたのお考えに最もあてはまるものをお答えください』と聞いている。結果は下記の通り。

・そう思う…14.3%
・そう思わない…54.3%
・状況や環境によると思う…31.4%

【自由記述】(抜粋)
<そう思う>
・「収入が欲しいから。スキルを活かしたいから。子どもが大きくなったら仕事をやり甲斐に生きて行きたいから。」(34歳・神奈川県、自社の女性管理職割合30%)

<そう思わない>
・「管理職が大変なのは目の当たりにしている。家庭を犠牲にせず、責任のない位置で長く働きたい。」(34歳・山形県、自社の女性管理職割合10%)

<状況や環境によると思う>
・「仕事の内容、給料、時間のバランス次第。」(38歳・神奈川県、自社の女性管理職割合5%)

「将来管理職になりたいと思わない」が54.3%で最も多く、一方で「なりたいと思う」は、わずか14.3%という結果となった。

管理職になりたいと思わない理由を見ると、管理職は、家庭の用事で休めなくなったり、家庭を犠牲にしたりなどのケースが多い印象を持っており、家庭と仕事の両立が難しくなりそうとの不安から、管理職になりたくないと考えているようだ。「状況や環境によると思う」の回答理由を見ても、仕事のために家庭や子育てをおろそかにしたくない、と考えている女性が多いことが分かる。

上記設問で「そう思わない」もしくは「状況や環境によると思う」と答えた120名に、『あなたは会社にどのようなサポートや制度があれば管理職になりたいと思いますか』(複数回答)と質問したところ、下記のような回答率となった。ここでは、上位5項目を記載する。

・プライベートや家庭と仕事を両立しやすいサポート体制(50.0%)
・どのようなサポートや制度があってもなりたいと思わない(31.7%)
・社員の意識改革のための研修(19.2%)
・ロールモデルがあること(19.2%)
・管理職同士のチーム制やペア制度(15.0%)

「プライベートや家庭と仕事を両立しやすいサポート体制」が50.0%で最多となった。やはり、「家庭と仕事の両立」が女性社員にとっての不安要素であり、そのサポートがあれば管理職になりたいと考える人が多いようだ。

女性管理職に活躍して欲しい企業にとっては、家庭と仕事を両立しやすいサポート体制の整備が課題になるのかもしれない。

この記事にリアクションをお願いします!