(1)対象者に、1〜9までの数字がランダムに配置された紙面を配布
(2)試験官より声掛けを実施。
この際、Aグループは名前を呼び、Bグループは名前を呼ばない。
(3)紙面を用いて1分間のテストを5回実施
(4)テスト終了後にアンケートを実施
Aグループ、Bグループそれぞれの「正答数」を集計すると、Aグループ(名前で呼ぶグループ)の正答数は、Bグループ(名前で呼ばないグループ)の正答数を常に、かつ大きく上回っており、その差は約15%となった。
これは、名前で呼ばれることで、参加者のやる気が高まり、解答するスピードが向上したと考えられる。
このことは、職場のマネージャーや経営者が社員に対し名前で声掛けをすることで、やる気をアップさせ、生産性が向上する可能性を示している。
また、Aグループ(名前で呼ばれたグループ)の誤答率は、Bグループ(名前で呼ばないグループ)の誤答率を常に下回っていた。これは、名前で呼ばれることで、参加者のやる気・緊張感が高まり、注意力が向上した結果、誤答率が減ったということが考えられる。
このことは、職場のマネージャーや経営者が社員に対し名前で声掛けをすることで、やる気や緊張感をアップさせ、ミスを抑制できる可能性を示している。
ただし同レポートによると、本データをt検定にかけたところ、有意差は検出されなかったとのこと、(1)同様、参加者数が少人数であったことが大きな要因と考えられ、参加者数を増やして同じ実験をした場合、有意差が検出される可能性は高いと述べている。
さらに、実験参加者に「名前を呼ばれたことの認識状況」を尋ねると、次のような結果となった。
・Aグループ…認識率100%
・Bグループ…認識率0%(※呼ばれていない)
参加者は名前で呼んでもらった(もらわなかった)ことを正確に認識していた。この結果から、名前で呼ぶという工夫をしている(いない)ことは、相手に確実に伝わっているということが明らかとなった。
――本実験の総評を、カオナビHRテクノロジー総研 所長・内田壮氏は次のように述べている。
「本実験および分析の結果、社員を名前で呼ぶことで『生産性向上』、『ミスの抑制』を実現できる可能性を確認できました。『顔と名前の一致』に加えて経歴、性格、スキル、希望など、より深く社員を理解することで、個別化(Personalize)されたマネジメントが実現し、より高い効果が得られると考えています」