また、物流においてもこうしたアプリが登場した。それはCBcloud株式会社が運営する「PickGo(ピックゴー)」というアプリだ。こちらは荷主とドライバーをマッチングしてくれ、登録しているドライバーが配送依頼をかけている荷主へアプリ上でコンタクトできるというもの。配送依頼をかけてから約3分以内にドライバーがエントリーできるスピーディーさが魅力で、サービス開始からマッチング率は95%以上を維持している。
このようなマッチングアプリはさらに自由な働き方を提示してきている。その一例ともいえるのが、株式会社リクルートジョブスがリリースしている「Job Quicker(ジョブ クイッカー)」だ。このアプリの強みは、1日で応募から採用までが完結するスピーディーさにある。1日のみの単発のアルバイトだけが掲載され、利用者は自由に応募が可能。24時間以内に採用の合否が決まるため、書類審査や面接などの手間が省け、気楽に働くことができる。これにより、利用者側の働くことへの精神的な壁が低くなる上に、企業側は急な人材不足にも役立てられるだろう。
バイク便大手である株式会社セルートが開発したアプリ、「DIAq(ダイヤク)」もそうした自由な働き方を後押ししている。「業界に属していない一般人のすき間時間を利用することができないだろうか」という考えのもと開発されたこのアプリは、一般の学生や主婦などが配送依頼に応じることができるシステムとなっている。サービスを利用したい荷主が配送先や荷物の量をアプリ上で入力すると、近隣にいる配達員が表示され、その配達員が提示する運賃や、過去にその配達員を利用したことのある荷主からの評価を参考にして選ぶことができる。配送物の盗難や破損などのリスク管理の面ではまだ課題はあるものの、こうした試みは今後も増えていくだろう。
特に物流や宅配業界では特定の繁忙期に大変な人手不足になりやすいため、こうしたマッチングアプリはまさに救世主となるだろう。しかしながら、労働契約を結ぶまでの手順を簡潔化すればするほど、労働者の責任意識は薄れていく危険性もある。そうした課題をどうやって解決するかなども含め、マッチングアプリの今後の躍進に注目していきたい。