経済産業省は2024年8月19日、同日より「健康経営銘柄2025」および「健康経営優良法人2025」の申請受付を開始したことを発表した。なお、本年度から中小規模法人部門においては、ブライト500と通常認定の間に新たな冠「ネクストブライト1000」を新設。また、試験的に小規模法人の認定要件を一部緩和する特例を導入することを公表している。
「健康経営銘柄2025」及び「健康経営優良法人2025」の申請受付を開始。中小規模法人部門に「ネクストブライト1000」を新設

大規模法人向け「令和6年度健康経営度調査」のポイント

健康経営®(※)とは、「従業員の健康保持・増進の取組が、将来的に収益性等を高める投資であるとの考えの下、健康管理を経営的視点から考え、戦略的に実践すること」を指す。環境や社会に配慮した事業を行い、適切なガバナンス(企業統治)がなされる会社に投資する「ESG投資」が拡大する中で、必須の企業戦略の一つだ。

今回の発表では、大規模法人部門の申請に必須の「健康経営度調査」における、令和6年度の変更点が発表された。その具体的な内容は以下のとおり。

(1)健康経営の可視化と質の向上のための配点バランスの見直し
健康経営が持続的に効果を生むためには、取組の意義や質の向上への意識を常に持ち続けることが重要であるとの観点から、経営層の関与を評価するなど配点バランスを見直した。また、自社の状況を把握した上で結果・成果を意識した取組を推進するため、プロセスの多寡ではなくアウトプット指標への配点を高めた。
さらに、適切にデータ管理されたPHRの活用は、健康状態・生活習慣の可視化を通じて健康への充実した支援に繋がることから、PHR活用に向けた環境整備状況についての設問を新設。

(2)新たなマーケットの創出
健康経営の国際的な普及促進の検討にあたり、海外法人を含めた健康経営の推進状況をより具体的に把握するため、注力している国と、その国での健康経営の実施方針について把握することを目的とした設問をアンケートとして追加した。

(3)健康経営の社会への浸透・定着のための評価項目の新設
仕事と介護の両立支援が進んでいないという令和5度調査結果や、今年3月に経済産業省が公表した「仕事と介護の両立支援に関する経営者向けガイドライン」を踏まえ、大規模については育児と分離し、仕事と介護に関する設問を新設。また、常時使用しない非正社員等を対象に含める企業の取組が評価される。さらに、従業員数の少ない法人に対して取組の実態に合わせた健康経営の推進を促す観点から、小規模法人の認定要件を一部緩和する特例を試験導入。

「健康経営銘柄2025」、「健康経営優良法人2025」の申請スケジュールについて

今後のスケジュールについては、以下の通りとなる。

●令和6年度健康経営度調査回答期間
令和6年8月19日(月曜日)から令和6年10月11日(金曜日)17時

●健康経営優良法人2025(中小規模法人部門)認定申請期間
令和6年8月19日(月曜日)から令和6年10月18日(金曜日)17時

●選定・認定時期
令和7年3月頃(予定)
令和6年度申請スケジュール
健康経営に取り組む企業を顕彰する本制度は、今後に向けて大企業だけでなく、従業員数の少ない法人でも健康経営が当たり前になるようにとの観点で変更がなされている。企業が経営理念に基づき、従業員の健康保持・増進に取り組むことは、従業員の活力向上や生産性の向上等による組織の活性化をもたらし、結果的に業績向上や組織としての価値向上へ繋がることが期待される。小規模法人の認定要件を一部緩和する特例が試験導入される今年度は、中小企業においても申請を検討する意義がありそうだ。

※ 健康経営®は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。

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