株式会社ベンマークは2024年6月19日、「Z世代の就職活動に関する調査」の結果を発表した。調査期間は2024年3月13日~4月30日で、全国の学生29,750人から有効回答を得ている。調査結果から、Z世代が興味を持つ業界や、就職先選びで重視するポイントなどが明らかになった。
【新卒採用】Z世代は企業選びで「成長機会」や「市場価値を高められるか」を重視。男女差や人気業界も明らかに

「メーカー」、「IT・通信」業界が根強い人気を維持

近年、企業ではDX推進に伴い、デジタル人材の確保・育成が急務となっている。そのカギを握るのが「リスキリング」であるが、日本のリスキリング実施率は国際的に低水準にあり、「人材不足」や「スキル不足」がDXを阻む要因とも言われている。そうした中、今後就活に臨むZ世代の学生は、就職に対しどのような意識を持っているのだろうか。

はじめにベンマークは、「就職活動で興味のあるカテゴリ」を尋ねている。すると、1位は「メーカー」で14.4%、2位は「IT・通信」で12.4%、3位は「商社」で7.5%となった。なお、上位2回答については、昨年実施した同調査においても同順位となっており、Z世代のこれらの業界に対する高い関心がうかがえた。
就職活動で興味のあるカテゴリ

就職先選びで重視するポイントは「成長機会」や「市場価値を高められるか」など。男女の違いは?

次に同社が、「就職先を決める上で重視するポイント」について尋ねたところ、「スキルアップや成長の機会が多く市場価値を高められるか」との回答が15.5%でトップとなった。以下、「給与・待遇が良いか」が13.4%、「職場の雰囲気・社風・コミュニケーションが良いか」が8.1%で続いている。

「スキルアップや成長の機会が多く市場価値を高められるか」が1位との結果については、年次別で見ても同様で、大学1年生から4年生まで一貫して最も高い割合となっているという。一方、福利厚生、ワークライフバランス、企業の知名度は相対的に低い割合にとどまったことから、同社は「Z世代の働く環境や条件よりも自身のスキルアップを重視する姿勢が顕著に表れる結果となった」としている。
就職先を決める上で重視するポイント
また同社は、「就職先を決める上で重視するポイント」に関する回答を男女別でも比較している。すると、「スキルアップや成長の機会が多く市場価値を高められるか」に関しては男女ともに最重視項目であるものの、2位以降の項目に違いが見られたという。

結果を見ていくと、男性はスキルアップや成長の機会の次に、「給与・待遇が良いか」(15.5%)や「職場の雰囲気・社風・コミュニケーションが良いか」(8.6%)を重視している。一方で、女性は「魅力的なサービス・プロダクトであるか」(12.0%)や「SDGsへの取り組みがあるか」(10.7%)といった項目が続いている。

上記の結果に対し同社は、「男性は自身のキャリアアップと経済的な側面により重点を置く傾向があり、女性は仕事内容そのものや企業の社会的責任により関心が高いことがうかがえる」とした上で、女性の「海外で仕事ができるか」(8.7%)や「尊敬できる上司がいるか」(5.1%)といった項目の割合の高さに触れ、「グローバルな環境での働き方や、職場の人間関係により価値を置いている」との見解を示している。
就職先を決める上で重視するポイント(男女別)
本調査から、Z世代が就職先を選ぶ際に「スキルアップや成長の機会が多く、市場価値を高められるか」を最も重視していることが明らかになった。今後、企業が新卒採用市場において、Z世代の人材を獲得し長期的に活躍してもらうためには、スキルアップの機会提供や、個人の市場価値を高める施策が不可欠となりそうだ。Z世代の成長意欲に応える取り組みを行うことで、早期離職の低下や人材の長期的な定着に繋がることが期待できるかもしれない。

この記事にリアクションをお願いします!