2016年以降、管理職求人は年々増加傾向に
これまで日本企業には、年功序列や終身雇用を前提とした“日本型雇用”の慣行や、企業内特殊的熟練が中心のキャリア環境があり、他社への管理職の転職は難しいイメージがあった。しかし、近年では注力事業に外部人材を起用するだけでなく、新しい事業領域への転換のために、自社にないノウハウを持った外部人材を管理職登用する動きも生まれ始めているという。そこでリクルートは、「管理職求人の推移」を調べ、2016年度を「1」として各年度の数値を出した。すると、2022年度は2016年の3.67倍になっており、コロナ禍で新規の求人が落ち込んだ中でも、管理職求人は減少しなかったことがわかった。
業界別の管理職求人は「IT通信業」が最も高い伸び率。注目は「電気・機械メーカー」
次に同社が、管理職求人推移を業界別にまとめたところ、2022年度で最も伸びているのは「IT通信業界」だった。次いで「建設・不動産業界」となったが、どちらも苛烈な人手不足と言われている業界である。また、IT通信業界では、デジタル化が進む中で需要が高まっており、組織の拡大を急務とする企業も多いことが背景にあると推測できる。また、注目したいのが「電気・電子・機械業界メーカー」だ。比較的“日本型雇用”の色が濃いと思われている製造分野だが、着実に管理職の募集も伸びている。同社は、「製造業でも、新しい事業への参入や既存事業の変革の必要性の高まりを背景に、外部から管理職を採用する動きがあるようだ」との見解を示している。