2023年上半期の倒産件数は5年ぶりに4,000件を上回る。前期から大幅に増加
物価高騰や慢性的な人手不足が続く昨今、経営難に直面する企業も多いと考えられるが、2023年上半期の企業倒産動向はどのようになっているのだろうか。まず帝国データバンクが2023年上半期の倒産動向をまとめたところ、2023年上半期の倒産件数は4,006件(前年同期3,045件、31.6%増)となり、上半期としては6年ぶりに前年を上回った。2023年3月に800件を記録して以降、月次ベースで600件を超える件数で推移したこともあり、上半期としては5年ぶりに4,000件を超えたという。
また、負債総額は9,065億8,400万円(前年同期1兆7,630億8,300万円、48.6%減)だった。マレリホールディングス株式会社の超大型倒産があった前年同期から、大幅に減少したとのことだ。
14年ぶりに全業種で前年同期より倒産が増加。「飲食店」は上半期として過去2番目
続いて同社が、倒産件数を業種別に集計したところ、上半期としては2009年以来、14年ぶりに全業種で前年を上回った。「サービス業」(前年同期774件→958件、23.8%増)が最も多く、「小売業」(同572件→834件、45.8%増)と「建設業」(同583件→795件、36.4%増)の2業種は、前年同期から200件を超える大幅増だった。また、「運輸・通信業」(同157件→211件、34.4%増)は、上半期としては9年ぶりに200件を超えた。さらに業種を詳細にみると、「小売業」では、「飲食店」(前年同期208件→378件)が上半期としては2020年(398件)に次ぐ過去2番目の件数となった。「サービス業」では、「広告・調査・情報サービス」(同231件→308件)が大幅に増加し、全体の件数を押し上げた。また、資材価格高騰や人手不足の影響を受けた「建設業」では、上半期としては2年連続で前年を上回り、特に「職別工事」(同246件→353件)の増加が目立った。
「不況型倒産」は3,000件超、「販売不振」が全体の約8割を占める
次に、同社が「倒産主因別の増減」を分析したところ、「販売不振」が3,130件(前年同期2,330件、34.3%増)で最も多く、全体の78.1%を占めた。「売掛金回収難」(前年同期6件→22件、266.7%増)や「業界不振」(同31件→37件、19.4%増)などを含めた「不況型倒産」の合計は3,197件(同2,379件、34.4%増)となり、上半期としては2年連続で前年を上回った。「放漫経営」(前年同期45件→61件、35.6%増)は、2000年以降で過去最少だった前年同期からの反動増もあり、大幅に上回った。また、「経営者の病気、死亡」(同136件→132件、2.9%減)は前年同期を下回ったものの、上半期としては3年連続で130件を超える高水準が続いた。
負債「5,000万円未満」の倒産が約6割となり、小規模な倒産増加が目立つ結果に
また、「負債規模別」に倒産件数を見ると、「5,000万円未満」の倒産が2,307件(前年同期1,787件、29.1%増)で最も多く、全体の57.6%を占めた。以下、「5億円未満」が823件(同599件、37.4%増)、「1億円未満」が658件(同467件、40.9%増)で続き、小規模な倒産の増加が目立った。また、「資本金規模別」では、「1,000万円未満(個人事業主含む)」の倒産が2,720件(前年同期2,028件、34.1%増)発生し、全体の67.9%を占めた。