お客様の声を活用し、結果としてサービスや商品に反映、還元されればお客様は評価してくれる、再購入してくれるはず。では、正しくお客様の声を反映・還元しているだろうか? 単に、お客様の声を掲載しているだけの状態で評価や購入を待ってはいないだろうか? 
社外秘や守秘義務を守るのは当然として、いただいたお客様の声にどれだけ対応したのかも継続的に公表し、この会社になら、意見を言ってみたい、問い合わせしてみよう、と思っていただく仕組みを社内に組み込んでおく必要があるだろう。
お客様の声、VOC(Voice  of  Customer)活用への疑問

重要になってくるのは証拠や証明としての『双方向コミュニケーション』

ある損保会社のHPでは、「コエキク」というコンテンツをHPの真ん中に掲載し、お客様の声だけでなく、その声に対する対応状況も掲載している。うまい!の一言である。こういったお客様の声の活用(VOC:Voice of Customer)には、多くの方が感心していることだろう。こういった対応については、弊事務所を含め、多くの会社の課題であると思う。この事務所になら、この会社になら、もっと意見を言ってみたい、問い合わせしてみようと思っていただく行動が、多くの企業・または事務所でまだまだ足りないのはなぜだろうか。なぜ継続的に公表するところが少ないのだろうか。
それは、「お客様の声をいただく・集める⇒その声を総合的に分析し、全体最適化⇒社内全体での共有」が、「業務としていかにスムーズにこなし、対応していくか」という点だけにとどまっていて、そこで思考や行動が止まっているからではないだろうか。「お客様からこのような声をいただきました」と『掲載』しているだけで、その声に応える、すなわち『双方向コミュニケーション』、という考えや課題に気付いていないのである。

粋に応えたい『双方向コミュニケーション』

今後、重要になってくるのは証拠や証明としての『双方向コミュニケーション』ではないだろうか。もちろん、個人情報保護とのバランスも大切である。
こういった施策においては、『双方向コミュニケーション』がトップの意志やメッセージ、会社の想い・施策と一致しており、一貫性があることが前提にはなる。お客様のご機嫌とりに終始しては意味がない。安目は売らない。そこはいい意味で頑固にプライドを持ち、正々堂々と適正価格を要求し、利益を出していくことが大切であろう。しかし、お客様も暇ではないし、生活もある。その中で時間や手間を惜しんで、会社に向かって声を発してくださっている。そのチャンスを逃すのはあまりにもったいない。

世の中は、粋でカッコ良い会社が支持され、生き残るのが道理である。高品質なサービス、豊富なサービス量は最低条件である。大企業ではまた事情が違うのかもしれないが、ベンチャー企業や中小企業は小さなチャンスを確実に掴み、拾っていくしかないのが現実である。
「お客様の声」というダイヤの原石をいかに磨き、会社の利益に直結させていくか。
そのお客様の声に最前線で触れている社員の声をいかに引き出すか。
お客様の声を分析するのも重要だがはっきりしているのは、会社本位でVOC活動をしても、誰も得をしないということである。企業規模に関係なく、VOC活動を改めて考え直す必要がある。利益をもたらすのはお客様である。そのお客様に満足していただくため、喜んでいただくために社員は仕事をしている。ES(社員満足)とCS(顧客満足)は表裏一体の関係にあることを忘れてはならない。

アーネスト・ハート 社会保険労務士 竹内 元宏

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