積水ハウス株式会社は2023年4月20日、「5月病に関する調査」の結果を発表した。調査期間は2023年3月20日~22日で、全国の20代~60代の男女540名から回答を得た。調査結果から、2022年に5月病を経験した人の割合や、新型コロナウイルス感染症といった「生活の変化」との関連性などが明らかとなった。
2022年に「五月病」を経験した人は3割以上に。年代・勤続年数を問わず「生活の変化」や「働き方」への満足度と関係か

2022年の5月病経験者の主な症状は、気力低下などの「気分に関わる変化」か

新年度が始まって1ヵ月程度が経過した頃に、「体のだるさ」、「食欲不振」、「気分が落ち込む」といった症状が出ることを、俗に「5月病」と呼ぶ。新型コロナ対策による在宅勤務など新たな働き方が推進された2022年には、どの程度の人が「5月病」を経験したのだろうか。積水ハウスはまず、「2022年に5月病になったか」(※)と尋ねた。すると、「ならなかった」が53.7%で、半数以上が5月病を経験しなかったことがわかった。一方で、「5月病になった」は35%で、3割以上が5月病を経験していたようだ。

さらに、同社は「2022年に5月病を経験した」とする189名に対し、「体調の変化」を尋ねた。すると、「職場に行きたくない」が50.3%で最多だった。また、以下は「気力がない」が45%、「気分が落ち込む」が41.3%と続いた。5月病経験者は、主に気分に関わる変化を実感しているようだ。

(※)本調査では、ゴールデンウィーク明けに「職場に行きたくない」、「気力がない」など体調に変化が現れた人を「5月病になった」と分類している。
2022年に「五月病」を経験した人は3割以上に。年代・勤続年数を問わず「生活の変化」や「働き方」への満足度と関係か

大型連休明けの体調変化の原因は「出社のストレス」が最多に

また同社は、2022年のゴールデンウィーク明けに「体調に変化が現れた」とする人に、「その原因と感じていること」を尋ねた。すると、最も多かったのは「出社のストレス」で、42.3%が回答した。以下、「人間関係の悩み」が27%、「ゴールデンウィーク期間中の生活習慣の変化」が19.6%で続いた。

また、「2019年以前に5月病になった」という人と同回答を比べると、2019年の「出社のストレス」は47.1%であり、2022年には同回答が4.8ポイント減少した。これについては、2022年はコロナ禍による在宅勤務やフレックス勤務といった柔軟な働き方が可能となったことで、「出社のストレス」が緩和されたことが背景にあると推測できる。一方で2023年は、5月に新型コロナウイルス感染症の5類移行が予定されていることから、今後はさらなる働き方の変化による5月病罹患者の増加が危惧される。
2022年に「五月病」を経験した人は3割以上に。年代・勤続年数を問わず「生活の変化」や「働き方」への満足度と関係か

「5月病」は年齢や勤続年数に関わらず誰にでも起こり得るもの

また、同社は「5月病になった」との回答者を年代別・勤続年数ごとに分類した。すると、年代別では「20歳~29歳」の20代が43.3%で最多だった。以下、「30歳~39歳」の30代が45%、「50歳~59歳」の50代が31.7%で続いた。このことから、5月病に年齢はさほど関係ないことが見て取れる。

勤続年数別では、「3年以上5年未満」が最多の61%、次いで「10年以上15年未満」が41.9%だった。このことを受け同社は、「5月病は若者や新入社員だけでなく、誰にでも起こり得るものである」との見解を示している。
2022年に「五月病」を経験した人は3割以上に。年代・勤続年数を問わず「生活の変化」や「働き方」への満足度と関係か

「生活の変化」の有無が「5月病」の発症と関わる可能性も

次に、同社は「2021年以降、生活の変化があった(243名)/変化はない(297名)」とした人ごとに、「5月病になった人の割合」を調査した。その結果、生活に「変化がない」とした人の29%に対し、「変化があった」とする人は42.4%となり、13.4ポイント高かった。
2022年に「五月病」を経験した人は3割以上に。年代・勤続年数を問わず「生活の変化」や「働き方」への満足度と関係か

「働き方」への満足度と「5月病」の罹患においても関連性が示唆される

また同社は、「働き方」、「睡眠の質」、「入浴の質」、「家族との関係性」の4項目に対し、それぞれの「満足度」および「5月病になった人の割合」を調査した。すると、4項目の中でも「働き方」の項目では、「満足・概ね満足」との回答者のうち「5月病になった」人は26.5%であったのに対し、「少し不満・不満」との回答者では50.4%が「5月病になった」と回答した。この差は23.9ポイントと、4項目中最も大きかった。このことから、特に「働き方への満足度」と「5月病」の罹患の関連性が高いことが示唆された。
2022年に「五月病」を経験した人は3割以上に。年代・勤続年数を問わず「生活の変化」や「働き方」への満足度と関係か
調査結果から、2022年に5月病を経験した人は3割にのぼっていたことがわかった。新型コロナによる在宅勤務の増加などで、出社のストレスは減少傾向にあるものの、発症率は「生活の変化」や「仕事への満足度」と関連していることが示唆された。今後、新型コロナの5類移行で再び生活に変化が起きることが予測できるため、企業には段階的な規制解除など柔軟に変化に対応していくことが求められるだろう。

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