エン・ジャパン株式会社は2022年6月21日、企業の人事担当者を対象とした「2022年の人材不足の状況」に関する調査の結果を発表した。調査期間は同年2月21日~5月24日で、計525社から回答を得ている。調査結果からは、人材不足の傾向が強い職種や、企業が取り組む人材不足に対する解決策などが明らかとなった。
コロナ以降改善の傾向も、いまだ8割の人事担当者が「人材不足」を実感。不足の原因や、各企業が取り組んでいる対応策とは

2019年と比べ改善傾向も、いまだ8割を超える企業が人材不足を実感している

さまざまな企業で人材不足が課題とされているが、企業の人事担当者はどのような実感を抱いているのだろうか。まず、エン・ジャパンは「自社で人材が不足している部門の有無」に関する回答結果について、2019年に実施した同様の調査結果と比較している。すると、今回の調査で人材が不足している部門が「ある」と回答した企業は82%で、2019年の89%を7ポイント下回った。また、「ない」との回答も17%と、2019年の10%から7ポイント増加した。
コロナ以降改善の傾向も、いまだ8割の人事担当者が「人材不足」を実感。不足の原因や、各企業が取り組んでいる対応策とは

業種別では「サービス関連」、「流通・小売関連」で人材不足が多い結果に

また、「人材が不足している部門の有無」について業種別に比較した結果では、人材不足が「ある」とした回答が最も多かったのは「サービス関連」の91%だった。以下、「流通・小売関連」が90%、「メーカー」が82%、「不動産・建設関連」が81%、「IT・情報処理・インターネット関連」および「金融・コンサル関連」がともに77%などと続いた。
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職種別では「営業職」、「技術職(WEB・システム・ネットワーク)」が上位

続いて同社は、人材不足が「ある」と回答した企業に対し、「不足している職種」を尋ねている。すると、「営業職(新規開拓・代理店・ルートセールス他)」が28%で最多となった。以下、「技術職・エンジニア(WEB・システム・ネットワーク)」が20%、「バックオフィス職(経理・総務・人事・広報・法務他)」が13%、「施設・設備管理・技能工」、「運輸・物流(ドライバー、警備、清掃他)」、「技術職・エンジニア(電気・電子・機械)」がそれぞれ12%などと続いた。営業職やWEB関連の技術職が上位となり、人材不足の実感が強い傾向がうかがえる。
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人材不足の理由は「退職による欠員」、「中途採用での人材確保が困難」など

さらに同社は、人材不足が「ある」と回答した企業に対し、「人材不足の理由」を尋ねている。すると、最も多かったのは「退職による欠員」で60%となり、次いで「中途採用での人材確保ができなかった」が43%となった。以下は、「既存業務の拡大」(26%)、「年齢構成のバランスが悪い」(25%)、「業績好調による業務量増加」(24%)、「新卒採用で人員確保ができなかった」(17%)などと続いた。
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人材不足の解決策は「人材採用の強化」が最多

「人材不足の状況に対する対応策」を尋ねた質問では、「人材採用を強化」が76%で突出して多くなった。以下は、「業務効率化(ICT化・標準化等)」が30%、「社員の教育・能力向上」が27%、「モチベーション向上のための処遇見直し」が21%などとなった。
コロナ以降改善の傾向も、いまだ8割の人事担当者が「人材不足」を実感。不足の原因や、各企業が取り組んでいる対応策とは
また、自由回答で尋ねた「人材不足にまつわる悩みや課題」の質問では、「採用」に関する悩み・課題として、「人材を確保しようにも、未経験者からの応募が多く、採用しても人材不足の解消につながらない」や、「応募者の本質が見えにくく、オンラインでの採用に限界を感じる」、「在宅勤務を優先する人材が多い」などという声が寄せられたという。

さらに、「入社後の活躍・定着」に関する悩み・課題としては、「採用しても3年以内で退職する」や、「産休・育休取得者や、短時間労働などへの対応が課題」などといった声があがった。


本調査から、社員の退職や採用などの課題から、8割を超える企業で人材不足を実感していることが明らかとなった。また、人材不足解消に向けて、採用を強化している企業が7割を超える一方で、業務効率化や既存社員の教育などの施策を実施している企業は3割ほどにとどまっているのが現状となっている。人材不足の解決には、採用強化だけでなく多方面からのアプローチが必要となりそうだ。

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