エヌエヌ生命保険株式会社(以下、エヌエヌ生命)は2022年5月30日、「事業承継に関する調査」の結果を発表した。調査期間は2022年4月22~23日で、全国の従業員300人未満の会社経営者の息子または娘728名(20~59歳の男女)から回答を得ている。これにより、事業承継特有の課題や、事業承継に際し抱える不安などが明らかとなった。
“親子間での事業承継”における課題は「事前の話し合い不足」か。「親の会社を継ぐ予定」との回答は約2割に

親の会社事業を「継ぐ予定」は2割強。「息子」と「娘」で回答に違いも

まず、エヌエヌ生命は「親が経営している会社事業を承継するか」を尋ねている。すると、「継ぐ予定」が24%、「継がない予定」が60.7%、「わからない」が15.2%だった。約4人に1人が「親の会社事業を継ぐ予定」であることがうかがえる。
“親子間での事業承継”における課題は「事前の話し合い不足」か。「親の会社を継ぐ予定」との回答は約2割に
また、回答者の属性を「息子」と「娘」に分けて回答の傾向をみたところ、「継ぐ予定」では「息子」が34.3%だったのに対し、「娘」は13.7%と、約20ポイントの差が開く結果となった。
“親子間での事業承継”における課題は「事前の話し合い不足」か。「親の会社を継ぐ予定」との回答は約2割に

事業承継についての話し合いを「一度もしたことがない」人が4割超に

続いて同社は、「事業承継について話し合ったことがあるか」を尋ねている。すると、「一度も話したことがない」が46.2%と半数近く、「一度だけ話したことがある」の14.6%を合わせると6割を超えた。一方、「何度も話したことがある」が31.3%、「十分に話し合ったことがある」が8%となり、約4割の息子・娘が事業承継についてある程度話し合った経験を持つことがわかった。
“親子間での事業承継”における課題は「事前の話し合い不足」か。「親の会社を継ぐ予定」との回答は約2割に

会社を継がない理由は「他に後継者候補がいる」との回答が最多

次に同社が、会社の事業を「継がない予定」と回答した442名に対し「事業を承継しない理由」を尋ねた結果、「他に後継者候補がいるから」が31.2%で最も多くなった。以下、「会社経営に興味がないから」が26%、「経営者に向いていないと思うから」が23.3%、「今の仕事を続けたいから」が20.4%、「会社や事業に将来性を感じないから」が18.6%、「必要な技術やノウハウを身につけていないから」が17.6%、「会社経営のリスクを負いたくないから」が13.1%、「仕事で得た知識や経験、資格を生かせないから」が5.7%となった。
“親子間での事業承継”における課題は「事前の話し合い不足」か。「親の会社を継ぐ予定」との回答は約2割に

会社を継ぐ理由は「廃業させたくない」が6割に迫り最多に

また、同社は事業を「継ぐ予定」と回答した175名に対し、「事業を承継する理由」を尋ねている。すると、最も多い回答は「廃業させたくないから」で56.6%だった。以下、「親に頼まれたから」が33.1%、「会社経営に興味があるから」が21.1%、「歴史ある会社を存続させたいから」が19.4%などと続いた。
“親子間での事業承継”における課題は「事前の話し合い不足」か。「親の会社を継ぐ予定」との回答は約2割に

事業承継に際して「資金繰りなどの経営状況」に不安を抱えている人が多い傾向か

続いて同社は、「事業承継に際し、心配・不安なことは何か」を尋ねている。すると、「資金繰りなど経営状況」が最も多い38.9%となった。以下、「自身の経営者としての能力」が30.3%、「仕入れ先や顧客との関係」が25.7%、「会社の将来」が25.1%などと続いた。
“親子間での事業承継”における課題は「事前の話し合い不足」か。「親の会社を継ぐ予定」との回答は約2割に
本調査の結果について、同社は、「親と?分に話をできていないことが、突然の事業承継や、準備不足による廃業などの原因になっている」との見解を示している。親子間での事業承継を検討している企業では、経営者である親と、事業承継者である息子・娘双方の想いを知ることが、円滑な承継の第一歩になるかもしれない。

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