制度への対策、「完了済み」は3割弱にとどまる結果に
正規雇用者と非正規雇用者の待遇格差をなくす目的で施行された「同一労働同一賃金」は、2021年4月1日より中小企業にも適用となった。では、中小企業の対策はどの程度進んでいるのだろうか。はじめに、「同一労働同一賃金の義務化に伴う対策は完了しているか」を尋ねた。すると、「完了している」が27.3%、「ほぼ完了している」が32.1%だった。一方、「あまり完了していない」が23.4%、「全く完了していない」が17.2で%、合計40.6%は対策が充分に進んでいないことが明らかとなった。
「会社の体制が整っていない」ことで、対策が具体的な動きにつながらない
次に、「同制度の対策が完了していない理由」を尋ねた。その結果、「会社の体制(人員配置、賃金規定等)が整っていないから」が26.9%と最多だった。以下、「どのように導入したらよいかわからなかった」が19.6%、「対策方法について社内でまとまっていないから」が17.8%と続いた。また、「対策の進捗状況」については、「対策が必要かどうかわからない」が24.9%、「対策を検討している最中」が21.6%、「現在取り組んでいる最中」が19%という結果に。対策の必要性を判断できずにいる経営者や、検討しているものの具体的な対策につながっていないという経営者が半数近くいることが判明した。
対策が完了しないことで社内に広がる影響とは?
続いて、「対策が完了していないことで社内に影響はあったか」を尋ねた。すると、「とても影響があった」が7.9%、「少し影響があった」が29.9%と、合計37.8%が社内に何かしらの影響がおよんでいると回答した。自由回答からは、「社員からのクレーム」、「新入社員採用の停止」、「給料体系の更新遅延」など、さまざまな声が寄せられた。また、「対策はいつまでに完了する予定か」を尋ねると、「完了の目途は立っていない」が43.7%と最も多い結果となった。しかし、今後の社内への影響も考え、迅速な対応が必要になるといえそうだ。
6割弱が「自社独自の対策」で完了するも、大変なのは「社内に有識者がいないこと」
最後に、「同制度の義務化に伴いどのような方法で対策を行ったか」を尋ねた。その結果、「自社で独自に対策をした」が59%と最も多く、次いで、「専門家のアドバイスを受けながら自社で対策をした」が30.3%となった。また、「対策をするうえで最も大変だったこと」を尋ねると、「専門的な知識を持つ社員がいないこと」が38.6%という結果に。以下、「社員への情報共有」が20.7%、「信頼できる社会保険労務士が見つからない」が17.2%と続いた。自社対策をするうえで、社内に有識者がいないことや、情報共有・体制整備に課題を感じている経営者が多いことがうかがえる。