パーソルホールディングス株式会社は2021年3月31日、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で変化する「人事戦略」についての調査結果を発表した。調査期間は2021年1月22日~26日で、従業員規模が30名以上の企業に務める経営者・役員、および会社員(管理職/一般社員)を対象に、1年以内に人事・採用関連の業務について「最終決裁をする立場」、「選択肢を絞り込む立場」、「指示を受けて、情報収集をする立場」のいずれかにあてはまる1,026名から回答を得た。これにより、人事戦略の今後の展望や、雇用管理の動向が明らかとなった。
コロナ禍で変わった人事戦略動向を経営者などに聞く。企業の3割超が「ジョブ型雇用」へ移行を検討

今後注力したいテーマは「テレワーク推進」、「人材育成」

新型コロナの影響で変化する働き方に伴い、企業の人事戦略は変化したのだろうか。

はじめに、「今後2~3年で注力したい人材・組織テーマ」を尋ねた。すると、「テレワーク推進」が29.4%と最も多い結果に。以下、「次世代リーダーの育成」が24.3%、「新人・若手社員の育成/活用)が19.6%と続き、テレワークのほか、人材育成におけるテーマが上位にあがっていることがわかった。
コロナ禍で変わった人事戦略動向を経営者などに聞く。企業の3割超が「ジョブ型雇用」へ移行を検討

雇用管理の方針は「ジョブ型」への移行を検討する企業が3割超

次に、「雇用管理において、今後2~3年程度の方針変更を考えているか」を尋ねた。その結果、「現在はメンバーシップ型寄りだが、今後ジョブ型の導入を考えている」が13.5%、「現在はメンバーシップ型寄りだが、今後ジョブ型の一部導入を考えている」が19%で、計32.5%の企業でジョブ型への移行を検討していることがわかった。
コロナ禍で変わった人事戦略動向を経営者などに聞く。企業の3割超が「ジョブ型雇用」へ移行を検討

約6割が「人材育成方針変更の必要性を感じている」と回答。働き方の多様化や柔軟性を求める

続いて、「今後2~3年の人材育成方針を変えていく必要があるか」を尋ねた。すると、「これまでとは方針を大きく変えていく必要を感じている」が15.2%、「これまでと方針をある程度変えていく必要を感じている」が48.7%となり、計63.9%が「変えていく必要性を感じている」ことがうかがえる。
コロナ禍で変わった人事戦略動向を経営者などに聞く。企業の3割超が「ジョブ型雇用」へ移行を検討
また、「人材育成方針において、変える必要があるもの」を尋ねた。その結果、「アフターコロナに対応する変化の必要性と柔軟性」や「ITに強い人材の育成」、「働き方の多様化やテレワーク活用に合わせた変化」、「テレワークが増える中でのコミュニケーション力」などの声が、どの企業からも共通して寄せられた。

社員のキャリアについて、理想と実態には大きな差が

最後に、「会社が想定する社員のキャリア」を「理想」と「実態」に分けて調査。すると、会社側の理想として最も多かったのは、「8割以上の人が定年・再雇用まで自社でキャリアを積んでいく」が49.2%と、約半数にのぼる結果となった。

しかし実態を見てみると、同回答は24.5%と、理想の約半数にとどまる結果に。理想と実態が乖離した状態にあることがうかがえる。
コロナ禍で変わった人事戦略動向を経営者などに聞く。企業の3割超が「ジョブ型雇用」へ移行を検討
予期せぬ新型コロナウイルスの感染拡大により、これまでの人事戦略を大幅に変更せざるを得ない状況となった企業もあるだろう。今後は、より企業と社員の意向がマッチするような、新たな戦略を考案していきたい。

この記事にリアクションをお願いします!