freee株式会社は2020年10月21日、ITシステムの利用に関するアンケート調査の結果を発表した。調査期間は2020年9月25~29日で、従業員300名以下の中小企業(スモールビジネス)の経営者と従業員、計4,463名から回答を得た。これにより、中小企業のITシステムの導入意欲や、選定において重視したいポイントが明らかとなった。
中小企業のITシステムの利用状況はどうなっているのか。2割の企業が「積極的な導入意向」を示す

半数以上の中小企業でITシステムの導入を意欲的に進めたい構え

中小企業では、どの程度ITシステムの導入が進んでいるのだろうか。はじめに、中小企業の経営者450名に、「ITシステムの導入意欲」について尋ねた。すると、「積極的に導入」が19.3%、「必要になったら導入」が34.9%となり、導入に前向きな企業が計54.2%と約半数を占めた。なお、この結果は「都市圏(東京都、千葉県、神奈川県、埼玉県、愛知県、大阪府)」と「その他の地域」で同じ傾向を示している。
中小企業のITシステムの利用状況はどうなっているのか。2割の企業が「積極的な導入意向」を示す

特にITシステム導入率が高い領域は「コラボレーション」や「人事・労務」

次に、社内で「ITシステム導入率が高い領域」について尋ねると、最も多かったのは「表計算・グラフ作成」(61.4%)だった。次いで「給与計算」(56.7%)、「グループウェア・メール」(52.4%)という結果に。主に集計業務や情報共有の効率化をはかるコラボレーションツールや、人事・労務管理を目的としたITシステムの導入率が高いことが判明した。
中小企業のITシステムの利用状況はどうなっているのか。2割の企業が「積極的な導入意向」を示す

WEB・オンライン会議システムの導入率は従業員規模に比例して高まる

また、「WEB会議やオンライン会議でのシステム導入率」を尋ねると、「導入している」との回答が、従業員数「10人未満」の企業では21.2%なのに対し、「100~300人未満」の企業では63.4%という結果に。従業員規模が大きいほど、導入率が高くなる傾向にあるとわかった。
中小企業のITシステムの利用状況はどうなっているのか。2割の企業が「積極的な導入意向」を示す

約4割がコロナ禍でリモートワークを実施。うち約半数が新たにITシステムを導入・検討

続いて、「コロナ禍でのリモートワーク実施状況とITシステムの活用」について尋ねた。まず、リモートワークの実施状況については「リモートワークを実施し、新たにITシステムを導入した」(9.4%)、「リモートワークを実施し、新たにITシステムを導入検討している」(9.2%)、「リモートワークを実施したが、新たにITシステム導入・検討しなかった」(20.2%)となり、実施している企業は計38.8%となった。
中小企業のITシステムの利用状況はどうなっているのか。2割の企業が「積極的な導入意向」を示す
さらに、リモートワークを実施しているという回答者に「その際のITシステムの導入意向」をヒアリングしたところ、「新たにITシステムを導入した」が24.3%、「新たにITシステムを導入検討している」が23.8%と、合計48.1%が導入もしくは導入を検討していることが判明した。
中小企業のITシステムの利用状況はどうなっているのか。2割の企業が「積極的な導入意向」を示す

重要視するのはITシステム同士の「連携しやすさ」

最後に、「ITシステム選定時に重要視すること」を尋ねた。その結果、「他システムとの連携のしやすさ」との回答が、リモートワークを実施した企業が17.8%だったのに対し、リモートワークを実施しなかった企業では10.6%と、多少の開きがあった。さらに「クラウドシステム」という回答は、リモートワークの実施企業では15.5%だったが、未実施企業では4.6%と、大きく数字を下げた。リモートワークを実施している企業ほど、「ITシステム同士の連携がしやすいか」と、「インターネット環境を介し、外部からもさまざまなデバイスからアクセスできるクラウド型のシステムであるか」を重要視しているようだ。
中小企業のITシステムの利用状況はどうなっているのか。2割の企業が「積極的な導入意向」を示す
コロナ禍によるリモートワークの普及に伴い、中小企業のITシステム導入も進展したことが伺えた。デジタル化によるビジネス環境のアップデートは、今後も地域や企業規模を問わず、さらに進むと思われる。企業はIT導入補助金などの公的支援や助成金を活用しつつ、ITシステムの活用によって業務効率を高めることを視野に入れていくことが求められるだろう。

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