地域企業経営者の関心を踏まえ、情報発信やネットワークづくりを進行
現在多くの日本企業では、「後継者不足」が課題となっている。現に2019年の中小企業廃業数は年間43,348件にのぼり、2020年版「中小企業白書」によると、そのうちの約6割が黒字のまま廃業となっている。2025年には約20万人の経営者が70代になると予測されており、事業継承は「早期解決が必要」といえるだろう。後継者不足課題は、宮崎県新富町の企業でも進行している。そこで、こゆ財団では事業継承の活性化をはかるため、去る2020年2月26日に講座「初めての事業継承~今から将来に備えよう!~」を新富町で開催した。講座では、事業継承の背景や現状、経営者交代がビジネスにおける好機であることを発信。参加者からは大きな反響があり、関心度の高さがうかがえた。そのため、同社は今回のライトライトとの連携協定締結にいたったという。
ライトライトの「relay」は、事業を譲りたい経営者と、事業を譲り受けたい候補者のマッチングサービス。経営者の事業運営に対する「想い」を記事化して後継者を公募するという、これまでのM&Aマッチングサイトになかった新しい取り組みだ。はじめに宮崎県に本社所在地を置く案件に取り組み、既に2件の後継者公募案件が公開、後継者の募集が始まっている。
一方でこゆ財団では、新富町内で事業継承を検討している事業者からの相談を受け取り、relayを活用することで事業者や事業のコーディネートに取り組んでいる。
さらにライトライトとの協働により、今後はイベントを通して事業継承の重要性や、課題解決へのヒントを発信していくという。また、事業継承促進のために必要な情報取得の機会を作り、役場、商工会、金融機関などと連携し、サポートネットワーク作りにも取り組んでいく。現在は案として、事業継承に成功した経営者・承継者らが意見交換をする「こゆ事業承継サミット」や、事業継承に関するTIPSを発信する「事業承継オンライン講座」を企画している。
少子高齢化と地方からの人口流出が進むいま、中小企業において事業継承は喫緊の課題といえるだろう。今後も地域に根強い中小企業であるために、親族や従業員からの後継者選択に限らず、マッチングサイトなど外部からの人材登用を視野に入れてみてはいかがだろうか。