こうした動きを揶揄し、反対する意見も少なくない。元日本マイクロソフト代表の成毛眞氏「日本人の9割に英語はいらない」はその代表で、猫も杓子も英語が必要のない人まで英語熱に取り付かれている現状を批判し、英語ができることと仕事ができることは違う、「頭の悪い人ほど英語を勉強する」とまで言い切る。その他にも、早期の英語教育が不必要どころか悪であると言う人もいる。企業のグローバル人材育成についても、冒頭の楽天、ユニクロ等に対しても批判の声が大きい。
なかには、流行に流された場当たり的な英語教育やグローバル人材育成が少なくないことは事実だろう。ただ、これまでの日本のままでよいかというと、全然話が違う。特に、国内市場が縮み海外事業の重みが急速に増す企業にとっては、死活問題である。
HR総研が2013年10~11月にとった企業アンケート調査では、「グローバル人材が大いに不足している」と答えた企業が22%、「やや不足している」が21%、「近い将来不足してくる」が9%と、合計で半数を超えていた。「充足している」は5%。また、「グローバル人材のニーズがない」が43%であり、このほとんどは事業自体がグローバル展開していないところだろうから、グローバル人材の不足は、日本企業にとって深刻な問題と言えるだろう。
調査回答にあった、ある企業の人事担当者の具体的なコメントを見てみよう。
「現地法人のキーマンの現地化を進めたいが、なかなか育っていないのが実態。業績に人員構成が左右されるため、てこ入れをしたいができず、日本人にてカバーしないといけない。かといって、日本人のグローバル化も進んでおらず、対応できる人が限られているため、積極的な事業展開ができない。現地ごとに求められているスキルが違うこと、適性がなかなか見極められないこと、育成に時間がかかること等が障害となっている。」(電機、従業員5001名以上)
まさに、グローバル人材の不足が事業展開のネックになっている事例である。
今後10年単位で考えれば、グローバル事業を担える人材需要がさらに加速して増大し、人材獲得競争が激化することは間違いない。その時にあなたが求められる人材でいられるかどうか。
特に、グローバル人材戦略自体を担える人事プロのスキル、経験がより求められることも間違いない。中央大学客員教授の楠田祐氏は「人事組織自体を率先してグローバル化するくらいでないと、日本企業のグローバル人材戦略は進まない。」と叱咤激励している。
さて、あなたはどうする?
HRプロ 代表/HR総合調査研究所 所長 寺澤康介