サステナビリティに関連した課題への対応策が求められている背景
近年、サステナビリティに関する議論を推進する風潮やニーズが世界的に高まってきている。国連が掲げた「持続可能な開発目標(SDGs)」や、地球温暖化対策の枠組みを定めた「パリ協定」などが、その背景に挙げられるだろう。また、気候変動によって、生活基盤となるインフラや公共施設の整備を担う行政に多大な影響を及ぼされる可能性も懸念されている。これらの影響から、グローバル資本市場においては、ESGという「環境、社会、ガバナンス」の観点の浸透、SDGs債の発行の拡大、企業に対しての気候変動への対応策の情報開示やリスク考慮の促進など、サステナビリティを巡るさまざまな動きがある。経済の主体となる企業、政府、投資家には、サステナビリティに関する科学的な議論や、潜在的な影響を踏まえた対応策の検討がより一層求められていくだろう。
持続可能な発展のために金融資本市場を通じて進める取り組み
野村資本市場研究所ではこれまで、「研究論文の発行」、「ESG債市場の持続的発展に関する研究会の設立」、「産官学が連携した調査研究の推進」などに、精力的に取り組んできた。今回設立された「野村サステナビリティ研究センター」では、現状の実践的な研究に立脚し、サステナビリティに関する調査をさらに強化していく予定。具体的には、野村グループ内外を繋ぐ「オープン・プラットフォーム」、「内部専門家と外部アドバイザーとの協働体制」を構築するなど、グローバル視点で海外と連携、交流を図っていくとしている。日本経済の持続的な発展のためには、市場メカニズムを活用したマネーフロー構造の確立が急務だ。野村資本市場研究所の取り組みは、金融システム、証券市場改革に貢献していくロールモデルとなるだろう。